vol.34 (2019)

情報メディア教育研究センター 研究報告
Vol.34, 2019 ISSN 1882-7594

表紙
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分子動力学法による気液平衡密度
片岡 洋右
受付: 2019年3月5日    PDF    抄録
Maxwell構成法の考え方を使い、第3の交点の密度の近似値を出発点にした新しい相平衡の求め方を示した。アルゴンのようなLennard-Jones系に適用できることが示された。分子動力学シミュレーションで得られる圧力等温線は多くの場合van der Waals式と定性的に同じなので、多くの分子系に適用できると期待される。
分子動力学シミュレーションによる窒素の気液相境界
後藤 優典, 片岡 洋右, 緒方 啓典
受付: 2019年3月5日    PDF    抄録
分子動力学シミュレーション(MD)により窒素の相境界を定めた。Maxwell 構成法に倣い、圧力等温線と蒸気圧に等しい圧力の水平線との交点の内、液相の体積を与えるものや気相の体積を与えるもの以外の第3の交点の体積を推定することでMDにより蒸気圧の近似値を得ることができる。この圧力を指定したNTP-MDを行えば液相あるいは気相の体積を得ることができる。得られた相境界における密度は実験値に対応する。
分子動力学法による液化過程とspinodal線
片岡 洋右
受付: 2019年3月5日    PDF    抄録
分子動力学シミュレーションにより圧力等温線を求め、レナードージョーンズ系のspinodal線を温度の関数として求めた。Spinodal 線の近傍では等温圧縮率は非常に大きな値をとる。準安定領域と不安定領域における構造緩和過程を分子動力学法シミュレーションにより比較検討した。準安定領域ではランダムな構造から出発して、徐々に安定構造に準じた構造が発達する。不安定領域においては、初期の緩和過程ではセル全体に及ぶ特徴的構造が現れた後に、徐々に2相に分離する。密度が高い領域では一つは液体構造であり残りの領域は気体に対応する。
分子動力学シミュレーションによる荷電コロイド分散系における秩序構造の安定性-2
片岡 洋右
受付: 2019年3月5日    PDF    抄録
荷電コロイド分散系における面心立方格子構造の安定性を液体構造と比較した。コロイド粒子間の有効ポテンシャルはSogami-Ise理論に従う。コロイド粒子の体積密度は1%とした。計算方法は分子動力学シミュレーションである。FCCと液体構造の共存する初期構造から出発して平衡状態における構造を求めた結果、室温ではFCC構造の方が安定であることが判明した。この構造の融点は約676Kと推定された。
個別要素法を用いた砂地盤の圧縮破壊試験シミュレーション
丸 裕也, 吉田 長行
受付: 2019年3月12日    PDF    抄録
不連続体を扱う手法の一つとして個別要素法(DEM)が挙げられる。この手法の特徴は粒状体の個々の粒子に働くミクロな力の相互作用を考慮することで材料のマクロな力学挙動を再現できるところにあり、連続体力学とは物の枠組みとなる手法である。本研究では、DEMにおける接線方向力の算定を従来のばねにより評価する方法と新たに距離により評価する方法を用いてせん断試験シミュレーションを行い比較検討することでDEMの特性を抽出し,その有効性を検討する。
建築物の実観測を用いた同定手法の検討
末崎 和宏, 吉田 長行
受付: 2019年3月13日    PDF    抄録
構造特性指標の中でも,固有周期,減衰定数という2つの数値を推定し,その結果より同定手法の精度を検討することを目的としている.昨年度までの研究では,観測対象を質点系モデルで模擬していたが,本年度は実際の建築物を用いて観測を行い,その時刻歴データを用いて検討を行った.
分子動力学法により気液平衡を得る計算に対する相互作用のカットオフ距離の影響
山田 祐理, 飯島 安純, 山崎 舜也, 津田 歴
受付: 2019年3月13日    PDF    抄録
気液あるいは固気平衡を計算する分子シミュレーションにおいて,相互作用のカットオフ距離が不当に短い場合,相境界が適切に得られない。本研究は,direct-coexistence法に基づく定圧分子動力学法によってLennard-Jones 12-6系および10-5系の気液平衡を計算し,カットオフが気液平衡温度に与える影響を調査したものである。カットオフ距離が短過ぎるとき,その計算によって見積もられる気液平衡温度は適切な値に比べて高くなる。適切なカットオフ距離の下限は,ポテンシャル関数や圧力の設定によっても変化するため,一義的には決められないことも分かった。
a,a-ジメチルベンジルカチオンに作用する直接共鳴効果の二面角依存性
中田 和秀, 藤尾 瑞枝
受付: 2019年3月15日    PDF    抄録
10˚〜90˚まで10˚刻みでベンゼン環と側鎖平面のなす二面角φを固定したα,α-ジメチルベンジルカチオンの気相安定性に及ぼす置換基効果を,その完全最適化カチオンの置換基効果と共に計算化学によって決定し,それらを湯川−都野式によって解析した。環無置換体の結合距離や結合角と得られたr+値との比較から,90˚固定カチオンに於いても直接共鳴効果が作用していることが裏付けられた。直接共鳴効果の発現機構を検討するため,NBO解析を行った。平面構造ではベンゼンπ電子系から側鎖のπ*軌道への電子供与に相当するNBO軌道の相互作用が見いだされ,ベンゼンπ電子系から側鎖のσ*軌道への電子供与に相当するNBO軌道の相互作用が見いだされた。これらの軌道相互作用によって全ての二面角φにおいて直接共鳴効果が発現することが明らかになった。
粒子法による量子波束の数値解析
廣野 史明, 岩沢 美佐子, 狩野 覚, 善甫 康成
受付: 2019年3月15日    PDF    抄録
粒子法を用いて電子状態を計算する手法を開発している。今回は二重スリットによる干渉を解析した。実空間で時間発展を行うところにSSPHを用いるが、時間発展をBohm形式で表すことにより効率よく粒子の軌跡を追跡することができる。この解析では数値解だけでなく解析解との比較ができるので、これにより粒子法の精度についても検証した。
建築物の環境性能と鉄道駅からの距離の関係性に関する研究
奈良 玲伊, 山口 歩太, 川久保 俊, 出口 清孝
受付: 2019年3月15日    PDF    抄録
本稿では、道路ネットワーク解析により、鉄道駅からの徒歩到達圏の算出を試みた。結果、鉄道駅から機械的に半径○mの円を作成して徒歩到達圏を生成するよりも、より実態に即していると考えられる徒歩到達圏を生成することが可能となった。集合住宅では鉄道駅から遠い地域に建設される建築物ほど環境性能が良くなる傾向が確認された。各評価項目についての分析ではサービス性能の項目のみ異なった傾向を示した。
遷音速軸流タービン翼列内の二次元流れ場における衝撃波の形成
辻田 星歩, 金子 雅直
受付: 2019年3月16日    PDF    抄録
環境負荷の低減に向けて、ガスタービンを構成する軸流タービンの空気力学的性能向上が要求されている。それに応える上で、衝撃波と境界層の干渉が損失生成に重大な影響を及ぼす、実機が作動する遷音速条件下における軸流タービンの空気力学的性能の調査が極めて重要となる。本研究では、軸流タービン翼列内の二次元定常圧縮性流れを汎用CFDコードを用いて数値解析し、出口マッハ数の増加に伴う衝撃波の形成状態の変化とそれに伴う損失生成の変化を解明した。
Ni/ZrO2系傾斜機能材料の熱-構造連成によるクリープ挙動解析
亀谷 恭子, 安藤 彰太, 塚本 英明
受付: 2019年3月29日    PDF    抄録
本研究では,耐熱性に優れているジルコニア(ZrO2)と,展延性を持ち合わせているニッケル(Ni)を,傾斜機能材料化した解析モデルを作成し,構造物に熱衝撃を与えた場合の変形・クリープ挙動の解明を行った.具体的には,Ni-ZrO2系傾斜機能材料モデル(FGMsモデル)と,異なる材料どうしを単に合わせたのみのモデル(2層モデル)を有限要素法解析により比較した.その結果, 2層モデルの場合は,材料物性値の違いから2種類の材料境界面にて不連続な変形が生じ,熱応力破壊の起点となりうる部分が確認された.これに対しFGMsモデルは,組成が傾斜し特定の接合界面が存在しないため,不連続な変形が生じず破壊起点となりうる部分や各境界面での型崩れが生じにくいことが判明した.
公共スペース通路における歩行者集団のセルオートマトン交通流解析
三末 航平, 小林 孝平, 川元 佳一郎, 喜渡 智之, 平野 元久
受付: 2019年3月31日    PDF    抄録
本研究は、歩行者間の局所的相互作用が歩行者集団の全体としての歩行行動にどのように影響するかを明らかにするために、公共通路で観察される歩行者の群集流のセルオートマトン(CA)モデルを構築する. 開発したCAモデルを用いて,駅構内等の公共スペースの通路における日常の歩行ルールやスマートフォンの迷惑行為などが歩行者集団の全体行動にどのように影響するかを明らかにし,交差路や階段で発生する混雑解消,事故予防と安全安心確保,およびメンタルストレスの軽減の応用展開について議論する.
CFD解析を用いた気泡分離除去装置の性能評価
坂間 清子, 高見澤 諒, 田中 豊
受付: 2019年4月19日    PDF    抄録
作動油中の気泡は油の体積弾性係数の低下にともなう応答遅れや油の劣化促進,振動騒音の原因など,油圧動力伝達システムの特性に大きな影響を与える.旋回流を用いて油中気泡を分離除去する気泡分離除去装置はこうした問題を解決する.本論文では,CFD解析にオイラー混相流モデルを用いて,複数種類の気泡径に対する気泡分離除去装置の性能を評価した.また装置流出側の気泡含有率のCFD解析結果と実験結果を気泡径の違いで比較し,CFD解析の妥当性を評価した.さらに乱流モデルや計算メッシュがCFD解析の収束性に与える影響を検討した.
KH Coderを用いたPBL授業自由記述式感想文の計量テキスト分析(機械工学科PBL授業改善の取り組み)
内野 泰伸, 亀谷 恭子, 六人部 隆夫, 近藤 雄基, 吉田 一朗, 相原 建人, 平野 元久
受付: 2019年3月29日    PDF    抄録
本報告では,機械工学科で実施したPBL授業の教育効果を検証することを目的として,統計分析ソフトKH Coderを用いた自由記述式PBL授業感想文の計量テキスト分析,すなわちテキストマイニングについて議論する.この目的のために,2017年と2018年の2学期に行われたPBL授業の授業体験感想文に書かれた文章をテキストデータ化しその計量テキスト分析を実施した.機械工学科のPBL授業プロジェクトが,課題解決に自主的・自立的に立ち向かえる人材育成を実現する授業目標を達成するのに有効であるかどうかについて議論する.