vol.26 (2012)

情報メディア教育研究センター 研究報告
Vol.26, 2012 ISSN 1882-7594

表紙
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Al-Cu合金の2相共存状態
久保田 康平, 片岡 洋右
受付: 2012年3月1日    PDF    抄録
Al-Cu合金における2相状態を分子動力学シミュレーションで調べた。使用したソフトウエアはMaterials Explorerで時間刻み幅は1fsとした。使用した相互作用はGEAMであり、原子数はAlが648、Cuは216個である。最初固相を作り、加熱により液体状態を得た。十分高温の液相から冷却した際に891 K から600 Kまでの範囲に2相共存状態が観測された。原子配置の直接観察で確かめられた。
完全固体の熱力学計算法
片岡 洋右, 山田 祐理
受付: 2012年3月3日    PDF    抄録
面心立方格子を形成するレナードジョーンズ相互作用する球形分子からなる結晶についての理想化された固体である完全固体の考え方を説明した。完全固体の状態方程式に基づく熱力学量の計算方法を詳述した。計算例として熱膨張率と等温圧縮率を示した。これらは分子動力学シミュレーションの結果と比較した。
分子動力学シミュレーションによる水の蒸発
柳澤 翔太, 片岡 洋右
受付: 2012年3月5日    PDF   抄録
水の気液界面を分子動力学法でシミュレートした。基本セル内の分子数は1300個、相互作用のモデルはSPCEである。アンサンブルはNEVとNTVを使用した。NTVの方がより合理的な蒸気圧を与えた。蒸気圧の全体的温度変化は、巨視的実験値を再現している。表面張力も推定した。またこれがゼロとなる温度も議論した。表面張力がゼロに近づくと界面の形が単純ではないことが観察された。
分子動力学法による氷VIIIと氷VIIの相転移
門脇 智成, 片岡 洋右
受付: 2012年3月5日    PDF    抄録
高圧氷VIIIから氷VIIへの相転移を分子動力学法で調べた。基本セル内の分子数は128である。分子間ポテンシャルはTIP4Pである。相転移はポテンシャルエネルギーの平均値(PE)の温度変化から観察された。氷VIIIから氷VIIへの相転移においてはPEの値はジャンプするのではなく徐々に値を変化させることから2次の相転移である。これに対し氷VIIから液体への相転移ではPEの値がジャンプし1次の相転移であることが確認された。相転移の詳細は回転緩和関数と平均2乗変位でも観察された。
固体の昇華蒸気圧
佐藤 和浩, 片岡 洋右
受付: 2012年3月5日    PDF    抄録
分子間にレナードジョーンズ相互作用を仮定し、FCC結晶の最近接分子間の相互作用から安定な結晶のポテンシャルエネルギーを体積の関数として定めた。固体の内部エネルギーはこのポテンシャルエネルギーに運動エネルギー項を加えたものと仮定した。圧力は熱力学的状態方程式を満たすように決めた。化学ポテンシャルを導き、気・固相相平衡点を決めることにより、固体の昇華蒸気圧を計算した。温度変化については合理的な傾向が得られた。
アルゴンのポテンシャルエネルギーと圧力の温度・密度依存性
村田 真洋, 片岡 洋右
受付: 2012年3月5日    PDF    抄録
レナードジョーンズ相互作用する系の固体と液体の圧力pとポテンシャルエネルギーの平均値PEが、温度と体積の関数としてどのように書かれるかを調べた。方法は分子動力学シミュレーションである。固相の限界点も決めた、調べた比較的低温ではpもPEも温度の1次関数で書かれることを見出した。とくに固相については調和振動子的振る舞いが確認された。
二酸化炭素の気液相平衡
松下 貴豊, 片岡 洋右
受付: 2012年3月5日    PDF    抄録
二酸化炭素系における液・気二相共存状態を分子動力学法でシミュレートした。液相と気相を作り、セルを張り合わせる方法で初期配置を作成した。分子間相互作用のモデルは一般の有機化合物に使用されるDreidingである。1100分子系をNTVアンサンブルでシミュレーションを実行し、蒸気圧の温度変化を求め、巨視的実験値と比較し、合理的な温度変化であることを確認した。合わせて表面張力の温度変化を求め、これがゼロとなる温度を推定した。
レナードジョーンズ系の気液相平衡
西野 和磨, 片岡 洋右
受付: 2012年3月5日    PDF    抄録
レナードジョーンズ相互作用する系の気液界面を分子動力学法でシミュレートした。アンサンブルは最も初等的であり人工的な操作を含まないNEVアンサンブルを使用した。基本セル内の分子の個数は1372個である。アルゴンについての計算値を巨視的実験値と比較した結果、計算値は高めになった。レナードジョーンズパラメータが必ずしも巨視的実験値から求めたものとあっていなかったので、換算圧力・換算温度で議論すると、おおきな不一致はない結果となった。他の球形分子とも大局的な一致を示した。
分子動力学法によるファンデルワールス係数に基づく気液平衡
濱口 雄大, 片岡 洋右
受付: 2012年3月14日    PDF    抄録
気体アルゴンを分子動力学法でシミュレーションして、その圧力と内部エネルギーの体積依存性を解析して、ファンデルワールス係数a, bを定めた。その値は巨視的実験値の解析から決定されたものとの差は10%程度であった。この係数をもとに、気液相平衡点を化学ポテンシャルの計算から求めた。得られた蒸気圧はアルゴンについての巨視的実験値と対応する。また臨界定数も巨視的実験値と比較的良く合った。
建物図面に基づく解析と微動観測の比較による耐震検討
藤岡 裕貴, 金子 峻也, 吉田 長行
受付: 2012年3月8日    PDF    抄録
本研究は地盤振動による既成建物の振動性状及び耐震性能を把握し,今後の耐震補強に役立てること目的とした研究である.その内容として,法政大学市ヶ谷キャンパス58年館正門側低層棟を対象に常時微動観測機器を用いて振動計測を行い,得られた観測データと,作成した立体骨組モデルの解析結果との比較検討を行う.次に剪断系質点モデルによる動的応答解析結果から耐震性を調査する.
個別要素法による離散粒状体モデルの動的追跡法‐一面せん断試験シミュレーションによる検討‐
松苗 尚人, 脊黒 隆大, 吉田 長行
受付: 2012年3月15日    PDF   抄録
本論では,改良を加えた個別要素法と,新たに開発したDEMに形状効果を持たせた連結個別要素法を用いて一面せん断試験の再現を目的としている.解析結果より粒子のサイズ効果および形状効果が砂質土の強度増加に与える影響を考察する.
完全液体と完全固体の相転移計算法
片岡 洋右, 山田 祐理
受付: 2012年3月21日    PDF   抄録
球形分子系に対する完全液体と完全固体の状態方程式を使用して、固相・液相・気相の間の相転移を計算する方法を述べた。計算に使用したワークシートも添付して、エクセルのグラフから熱力学的平衡条件を満たす解の求め方を示した。圧力と温度を与えて体積を求める方法を述べた。これにより、圧力が与えられた時、ギブズエネルギー・エントロピー・体積・膨張率が温度とともに変化する様子をグラフで示した。
CIP法によるせん断波動場の解析
神﨑 壮一郎, 佐々木 豊, 吉田 長行
受付: 2012年3月21日    PDF   抄録
地盤の非線形な動的挙動を扱う場合,有限要素法が有効かつ柔軟な手法である.しかし,有限要素法は有限領域を対象とする数値解析手法である.そのため,無限あるいは半無限弾性体の波動伝播問題に適用するには,解析対象の内部から外部に逸散する波動が,境界領域で反射しないための工夫が必要である.仮想境界における境界処理の代表例として境界に粘性ダッシュポットを組み込むことが主流であるが,本研究ではCIP法を用いた手法を目指す.
常時微動から推定する建物の振動特性に関する研究-最適化手法を用いた構造同定-
秋元 一成, 吉田 長行
受付: 2012年3月24日    PDF   抄録
本研究の目的は,常時微動観測機器を用いて常時微動下の対象建物を観測し,得られたデータのみから建物の振動特性等を探り,構造諸量を同定するプロセスを構築することにある.本プロセスによれば,耐震診断業務において,図面からデータを拾い,計算用構造モデルにインプットするなどの作業を短縮し,また,図面等の資料が得られない場合でも既存建物の耐震性を診断できる利点がある.
流体解析におけるB-スプライン制御での形状最適デザイン
山口 清道, 竹内 則雄
受付: 2012年3月30日    PDF   抄録
計算格子による形状定義では,数値解析の精度を向上させるほど,設計変数が増加するという問題点が生じる.この問題を,B-spline曲線を形状定義に利用することで改善した.はじめに,形状定義にB-spline曲線を用いた形状最適化の定式化を展開し,トラックの導風板を事例として形状デザインの最適設計を行った.その結果,通過点ではなく制御点での定義により,制約条件や設計変数を等しい値に設定しても,曲線は交わらずに表現することが可能になり,より良い形状に導くことができた.
遠隔講義におけるActive Learning支援ツールの開発とSakaiへの統合
常盤 祐司
受付: 2012年3月31日    PDF   抄録
遠隔講義において教員が不在となる遠隔教室に参加する学生のモチベーション維持は大きな課題となっている.この課題を解消するためSakai CLEと連係して利用できるWebベースのシステムを開発した.このシステムにより教員は自身が講義する教室ならびに遠隔教室に参加する学生の氏名だけでなく,学生番号,将来の進路,興味領域,クラブ,教室への入室時間などを手元のPC画面で確認することができる.教員はこれらの情報を踏まえ,講義のトピックスに関連した学生を随時指名することができる.これにより Active Learning形式の授業が実現され,ひいては大学における教育効果の向上が期待される.
安息香酸の気相酸性度に及ぼす置換基効果
中田 和秀, 藤尾 瑞枝, 西本 吉助, 都野 雄甫
受付: 2012年4月5日    PDF   抄録
環置換された安息香酸の相対気相酸性度(すなわち、ベンゾエートアニオンの相対気相安定性)を理論的に決定した。得られた置換基効果を種々のアニオン系と比較するとともに拡張湯川-都野式によって解析をおこなった。その結果、本系の酸性度は環置換基からの誘起効果、共鳴効果、および、サチュレーション効果に支配されており、拡張湯川-都野式によって精度良く相関された。本系が本質的にアニオン系であることが確認された。