vol.20 (2007)

情報メディア教育研究センター 研究報告
Vol.20, 2007 ISSN 1880-7526 2007年3月20日発行

スペースデブリシールド構成材料の積層順序の検討
中神正智、片山雅英、新井和吉
PDF   抄録
本研究では、スペースデブリ衝突を防護する宇宙構造物用の耐衝撃性複合シールドの開発を目的としている。スペースデブリシールド構成材料として、現在宇宙構造物のシールド材として主に用いられているアルミニウム合金(A6061-T6)および高分子材料の中でも特に高い耐衝撃性を有しているポリカーボネート(PC)を用いた。それぞれの材料を積層させ、高速衝突実験および数値シミュレーションを行うことで、積層順序による衝突の微視的な変形挙動および破断形状の違いについて検討を行った。
超小型遠心圧縮機内の流れの数値解析
萩原和明、天野聖、嶋田尚輝、水木新平、辻田星歩
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近年、電力用の分散型エネルギー源やモバイル電源、超小型飛行機用を目指したガスタービンの小型化に対する研究や試作が盛んに行われている。しかし、小型化された遠心圧縮機の内部流れの詳細を実験で解明することは非常に難しい。本研究では、マイクロガスタービンを構成する超小型遠心圧縮機の実現を目指し、羽根車内の流れの詳細をCFD により解明し、開発のための知見を得た。
ステッピングモータの低騒音化
栗原祥吾、松村信宏、岩原光男、長松昭男
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研究の目的はステッピングモータの低騒音化である.ステッピングモータはステップ毎に回転する構造によって簡単に位置制御が実現できるが,ローターは加減速を繰返すことにより速度変動を行い振動が発生する要因となる.この振動を低減するために,ステータの構造最適化を行ったステッピングモータの騒音・振動の測定と,ステッピングモータ全体の構造最適化を行うために有限要素モデルの製作を試みた.
モード解析によるソフトテニスラケットの振動特性
山口尉良、後藤裕太、岩原光男、長松昭男
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本研究はソフトテニスラケットに関する研究である.一般的な硬式ラケットについてはいくつかの研究が進んでいる。しかし、軟式テニスラケットについてはあまり研究がなされていない。本研究では軟式テニスラケットをモード解析し,その特性を調査した。
チタン製中空管を用いた空洞共鳴の研究
松村信宏、 金丸大樹、岩原光男、長松昭男
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今日ゴルフクラブ特にドライバーは、目覚しい技術革新による飛距離性能の向上の為、SLE ルールと呼ばれるドライバーヘッドの反発係数を規制する規定が生まれた.このルールは、ヘッドの打撃面の反発係数が0.83 以下でなくてはならないというものです.これにより,ドライバーヘッドにおいては飛距離性能での商品の差別化が困難になりつつある.そこで,新たな付加価値として打球音の心地良さが注目されている.製品開発において, 時間やコストを抑えつつ音質の良さを追及するには,設計段階で音を計算し,予測する方法が有効である.本研究はその手法について,この音が商品の付加価値を決めるドライバーヘッドの前段階として,チタン製中空管を用いた空洞共鳴の研究を行った.
歪ゲージ応答による実験モード解析
伊藤貴彦、桑原広樹、岩原光男、長松昭男
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従来の加速度ピックアップを使用した実験モード解析では測定が困難である回転構造体の回転時における振動特性を求めることを最終目的とした。そのために、歪ゲージを利用して実験モード解析を行い振動特性を求める。また、計算からも振動特性を求め、実験と計算の両面から振動現象を解明する。
開放分岐型構造の動的解析に関する研究
清井宗孝、西川元徳、三浦寛生、吉田長行
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本研究の目的は、道路の側や公園など、どこにでもある樹木の上部や下部に見られる構造を開放分岐型構造と定義し、その構造特性を調査検討することにある.その意図は、樹木の耐震性に着目し、その秘密を工学的に明らかにすることにより、将来の建築構造に役立つ情報を引き出すことにある.そのため建築構造分野だけでなく、植物学、材料学など他分野の文献調査に基づいて樹木の数学的モデルを作成し、その動的解析を行った.
野川流域における降雨流下方向を考慮した短期流出解析
田鎖秀明、岡泰道、小寺浩二
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分布型流出モデルによる降雨流出解析において重要な流域特性パラメータのうち,本研究ではメッシュ間の水分移動を支配する「土地の傾斜方向」に着目した検討を加えた.対象流域を10mメッシュに分割し,数値標高モデル(DEM)より抽出した土地の傾斜方向を示すデータを各メッシュに付与した.のことより,各メッシュからの流出が隣接するメッシュへと移動するモデルを構築し,その妥当性について検証を行った.さらに,構築したモデルを野川流域に適用した.しかしながら,十分な結果を得るに至っていないため,今後は,物理的なパラメータを組み合わせ,解析値と水文観測データを比較することにより,解析手法と妥当性について評価を行うことが挙げられる.
変位場に応力を用いたHPMの開発
竹内則雄
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既存のHPM(Hybrid-type Penalty Method:ハイブリッド型ペナルティ法)では,部分領域毎に独立に
剛体変位,剛体回転とひずみ,高次の場合にはひずみの勾配を未知パラメータに設定して変位場を仮定している.本論文では,HPM の変位場として,ひずみのかわりに直接,応力を未知パラメータに設定する新しい変位場を用いた混合法を提案する.さらに簡単な数値計算例によって,本手法によって得られる解の精度が,ひずみを未知パラメータとした場合と同等であることを示す.
HPMによるひずみエネルギーを指標とした要素細分割法の提案
見原理一、竹内則雄
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著者らは,ハイブリッド型の仮想仕事の原理を基礎にペナルティ法の概念を応用したハイブリッド型ペナルティ法(HPM : Hybrid-type Penalty Method)と称する新しい離散化手法を提案した.HPM では,全体領域を部分領域に分割し,それぞれの部分領域において独立に変位場が定義される.このとき,領域の節点は領域形状を認識するためだけに用いられ,FEM のように自由度は持たない.したがって,局所的に強い強非線形性が現れるような問題の場合,要素の部分的な細分化を行うことでより精度の向上が図ることが可能である.本研究ではひずみエネルギーを指標とした要素細分割法を紹介する.
避難時における指差誘導法及び吸着誘導法に対するシミュレーション
岡田裕作、竹内則雄
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本研究では,従来の避難誘導である指差誘導法と,実験的に有効性が示されている吸着誘導法とをシミュレーションで再現するため,シミュレーションモデルとシナリオの構築を行った.既往の実験に対するシミュレーションの結果,指差誘導法では避難者の歩行速度を遅くせざるを得ず,吸着誘導法の有効性を確認することが出来た.
上肢を有する受動歩行の研究
茂瀬亮太、内田翔、小林尚登
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能動的に制御する歩行運動と比較して効率のよい受動歩行をヒューマノイド等へ応用するには,上肢を有する二足歩行モデルでの議論が必要である.つまり,上体の姿勢および腕の動作等の上肢の状態が受動歩行に与える影響を解明しなければならない.しかし,現在までの受動歩行研究の多くは脚部のみを対象としたモデルが多く,胴と腕を有する二足歩行モデルの研究例は少ない.そこで,本研究では腕,胴,脚を有した二足歩行モデルを用い,上体姿勢,腕振り動作の諸条件を変化させることでシミュレーション実験を行った.シミュレーション実験の結果に基づいて上肢を持つ受動歩行の安定性について解析し,報告する.
電気機器における非線形現象の可視化
田中祐司、齋藤兆古
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本論文では、Chua 型磁化特性モデルを用いて磁性材料を含む電気回路、特に定電圧源として用いら
れる並列鉄共振回路の鉄共振現象に関して報告する。Chua 型磁化特性モデルの構成方程式より導出される回路方程式を状態変数法で表現し、後方オイラー法を用いて過渡解析を行う。同時に状態遷移行列の固有値を時間刻み幅ごとに計算し、固有値の時間推移を可視化する。その結果、回路がヒステリシスやカオス的な鉄共振現象を提示しているにもかかわらず、状態遷移行列の固有値は規則的で履歴に依存しないことが判明した。
エネルギー変換現象時における1/fゆらぎ特性の可視化
寺西正晃、齋藤兆古
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自然界の現象は、天体の自転や公転などに代表されるように、それぞれ、境界条件や初期条件に応じて再現性の無いそれぞれの現象固有の周波数特性をもっている。この周波数特性はロウソク炎などの化学反応現象、人間などの生物の動き、気象現象である波や雲などの風景にも存在し「1/f ゆらぎ」などと呼ばれている。この「1/f ゆらぎ」周波数は人間のメンタル部分へ作用し、いわゆる「癒し」効果が有り、名画の空間周波数や名曲にも必ず存在することが知られている。本論文では、気化、昇華、融解、燃焼などの自然界に於ける相転移現象の動画像に関して時間領域周波数特性を考察する。画素単位の時間軸フーリエ・パワースペクトラムから1/f ゆらぎ周波数特性の空間分布を可視化し、1/f ゆらぎ周波数発生源が非可逆的エネルギー変換の行われる相転移現象発生時に生成される可能性を明らかにする。
表皮効果削減のための高周波断面形状の最適化
黒田洪平、齋藤兆古
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電気電子機器に使用される全ての導体における高周波動作は表皮効果を喚起させてしまう.特に現代の高速なコンピュータ内部の高周波駆動するバスは熱損を引き起こす大きな表皮効果が起きる.本論文では、我々は多様な断面形状持つ導体高周波な電流を流した時の表皮効果の可視化を試みる。表皮効果の可視化により,電流分布が均一になるような最適な断面形状を持つ導体の探求を試みる。つまり銅損の可能な限り最小にする導体断面形状の最適化ということを意味する。表皮効果などの電流分布の可視化することはヘルムホルツ方程式を解くことを本質としている。我々は等価回路を用いることにより変微分方程式を減らす準解析的手法を採用する。等価回路に流れる枝電流を求めることによって電流分布の可視化を行う。
ビッター法による可視化磁区画像から磁化特性の抽出
須永高志、寺西正晃、齋藤兆古
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従来,磁区の評価を行うには,一定の環境と一台数千万もの高価な装置,そして熟練した技術者が必要でした。我々は磁区の電子顕微鏡画像から磁性体の磁化特性を抽出する全く新しい画期的な方法を提案した。現在,我々は安価な装置で磁性体の磁区を可視化可能とするビッター法を用いて磁性体の磁化特性を抽出する方法を開発している。可視化された磁区動画像の評価を,技術者の目視によって評価していましたが,計算機により自動的に評価できる手法で磁区挙動を評価することを目的に研究を行ってきました。その結果,ビッター法による磁区の可視化動画像から,磁化特性が測定可能である見通しを得たので此処に報告する。
コンデンサー中を流れる変位電流の可視化
星野賢治、齋藤兆古
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電気回路を構成する主要な素子として電界エネルギーを蓄積するコンデンサーがある。コンデンサー
は電気的な絶縁体である誘電体を介して電流が流れる素子であり、絶縁物中を電流が流れるため、コンデンサー中を流れる電流を変位電流と呼び、Maxwell が発見し、現代文明の一翼を担う無線通信技術の創始に繋がった。本論文では、このコンデンサー中を流れる電流を可視化し、誘電体の機能やコンデンサーの最適形状などに関して考察する。
可視化画像の固有パターンを用いた画像認識
高翔、小杉山格、齋藤兆古
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本論文では画像の幾何学的情報を画像の持つ幾何学固有パターンを用いて抽出する方法を検討する。人間の視覚情報処理能力を計算機によって実現する第二段階として,画像の色情報と幾何学的固有情報を用いる画像認識手法に関して述べた。具体的にはフーリエ余弦変換による幾何学的固有パターンを提案した。モノクロ静止画像,動画像から出発し,カラー静止画像,動画像へ拡張しその有効性を検証した。フーリエ余弦変換スペクトラムを直接1次元化して得られる幾何学的固有パターンでは,動画像の動きに制限が伴うが,比較的良好な結果が得られることが確認された。
原単位法を用いた河川流域の汚濁負荷量推定に関する研究
-荒川水系入間川流域の事例-

清水裕太、小寺浩二
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都市域では下水道整備の普及が進み,河川環境は飛躍的に向上したが,近年,農村地帯からの肥料の溶脱や畜産廃棄物などに起因した流出水による窒素汚染が問題となっている。本研究では全国規模で整備されている国土数値情報1/10 細分区分土地利用データをもとに,生活排水処理率,農地施肥量を補正値として支流ごとの汚濁特性を整理し,窒素排出負荷量の推定のためのGIS を用いた汎用モデルの構築を行った。その結果,補正値を組み込むことにより都市化率の高い河川では良好な結果を確認できた。
遠隔教育でのICタグによる在席管理システムについて
石田則道
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遠隔教育では、担当教員はカメラ越しの受講生を意識することが重要である。離れているがゆ
えに、講義をサポートするTAなどの支援体制を整えることが望ましいが、現実的には、目が届かない授業も存在する。双方向の講義において、配信先に在席している学生の状況を知りたいとの要望に対して、ICタグ付きのカードを作成し受講生に配布した。教室に入室する際、カードをリーダーにタッチさせることで、入室した時間、名前などが知ることができる環境を構築した。今回の実験で、教員の手元の在席リストから、配信先の受講生を名指しで問いかけることで、講義の一体感を感じさせる効果があった。その他、実験から得られた功罪を紹介する。
SAKAI調査
常盤祐司
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本学では2006 年度から全学を対象とした授業支援システムのサービスを開始した。このシステムを継続的に発展させていくためのレファレンスシステムとして、米国大学に導入が進んでいるオープンソースの授業支援システムであるSakai に関する調査を行った。調査の元となる情報源についてはインターネットあるいは書籍による情報に加え、Sakai 開発者から直接説明を受けた情報も含めた。はじめに先進的なテクノロジおよび開発手法を採用したSakai のレファレンスシステムとしての詳細を示す。そして調査を進めていく段階で判明したSakaiの運営組織であるSakai Foundation およびその組織が推進する情報交換の場であるSakai Community の有効性を示す。最後にこれらから導かれる授業支援システムのあるべき姿を示す。