vol.17 (2004)

計算科学研究センター 研究報告
Vol.17, 2004 ISSN 1347-6726 2004年3月22日発行

恐竜型アミューズメントロボットの動作シミュレーション
澤田知之、田中豊
PDF   抄録
動物型ロボットに求められる生き物らしい動作の生成方法として,従来のモーションキャプチャー方式に変わる,新たな方法を提案する.本稿では,恐竜型アミューズメントロボットを対象とし,人が動作から感じる印象や,実際の動物から得られる動作のパラメータを元にロボットの動作を生成し,機構解析ソフトを用いたシミュレーション結果から動物的動作の検証を行う.
没入型仮想環境による建設機械システムの遠隔操作
萩原宏仁、別府弘邦、田中豊
PDF   抄録
建設機械の遠隔操作を行う場合,1台のカメラ映像をディスプレイに表示して操作を行うのが一般的である.しかし,この方法による遠隔操作は,カメラ映像が1つしかないため距離感が掴み難く操作者への作業負担がかかる.さらに,カメラ映像は通信時間送れが発生しやすいといった問題もある.そこで本研究では,高い臨場感を持つ仮想空間を操作者へ提供する高臨場感遠隔操作システムを提案し,その構築を行う.操作者は,ビジョンドームと呼ばれる没入型ディスプレイによって臨場感の高い仮想空間が提供され,遠隔地であっても実作業空間のように錯覚する.さらに,この構築したシステムを用いて,実作業空間と遠隔操作空間の間の通信時間遅れや遠隔操作による作業負担の補償を実験的に検証する.
超高負荷タービン翼列内の流れの数値解析
 -翼先端隙間による影響-

石原幸治、板倉純、山本純平、水木新平、辻田星歩
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次世代高出力・小型軽量タービンの性能向上の一つの方法として、タービン翼の高負荷化がある。しかしながら、タービン翼の高負荷化に伴い翼列内において複雑な三次元流れが発生し、損失が増大することが予想される。本研究では、高負荷化を可能にする超高負荷タービン翼列の翼先端隙間(TCL)の大きさを変え、翼列内に生じる流れをCFD(computational Fluid Dynamics)により解析し、超高負荷タービン翼開発のため知見を得ることを目的とする。
モード解析によるシロッコファンの振動特性
大舘淳、保坂学、岩原光男、御法川学、長松昭男
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実験周波数応答関数から統計的に最も確からしいモード特性を同定できる非線形最適化法を使用し,モード特性を求める.ユーザによる使い易さをMATLABによりプログラミングされた実験モード解析システムを使用する.本研究では,シロッコファンに適用し,同定されたモード特性と有限要素法による結果を比較・考察する.
熱変形を利用する超小型インペラーの形状最適化
渡利将雄、岩原光男、長松昭男、水木新平
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今まで本研究室で用いている擬似最小二乗法は、Shell要素に適した最適化手法であり、この超ル型インペラーはSolid要素のため、最適化しようとすると設計変数の定義が困難となる。そこで今回Solid要素からなるインペラーの最適化ができるように熱変形を利用する形状変更を行い、このモデルの応力低減を試みた。
ゴルフクラブの振動音響シミュレーション
岩佐幸紀、渡利将雄、岩原光男、長松昭男、御法川学
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身の回叫こある製品というものは振動現象を利用して商品化されているものがある。ゴルフを気持ちよくするにはゴルフクラブのスイング音、ボールとの衝突音が製品化に問われるところである。そこで今回研究課題として取り上げるのは後者である。実験、シミュレーション、ミズノの算出値の同定をした上で衝突音を設計段階である程度予測し向上へとFORTRANで音響プログラムを作成し実験の音と比較した。
大型送風機用羽根車の亀裂原因解明と構造最適化
大竹雅浩、粂田克也、岩原光男、長松昭男
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本研究では実際の稼動中に主板とBladeとの結合部に亀裂が入った大型送風機用インペラーの亀裂原因を解明するために有限要素法による振動解析と遠心力による応力解析を行った.解析結果よりインペラーの亀裂の原因は,遠心力により側板が波打つ現象が起こり,主板とBladeとの結合部に集中応力が発生するためだということがわかった.そこで応力低減を狙って擬似最小二乗法による構造最適化を行った.設計変数を要素の板厚,挙動制約条件を最大応力とし繰返し計算を行ったところ,4回の計算で目標値まで応力を低減することができた.
共鳴型サイレンサの振動特性
岡野裕征、御法川学、岩原光男、長松昭男
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実験周波数応答関数から統計的に最も確からしいモード特性を同定できる非線形最適化法を使用し、モード特性を求める。ユーザーによる使いやすさをMATRABによりプログラミングされた実験モード解析システムを使用する。本研究では、サイレンサの内板とサイレンサ全体に適用し、内板については同定されたモード特性と有限要素法による結果を比較・考察する。
構造最適化によるシンバルの音質向上
湯浅圭介、辻和幸、岩原光男、御法川学、長松昭男
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打楽器シンバルの音質向上として、まず時間領域で音を採取した。周波数領域で色々な周波数帯成分を低下させ、逆フーリエ変換により時間領域に戻して音を作成し、この音を一対比較法で官能検査した。そこで得られた良い音質とされるシンバルを有限要素法を用いて構造最適化を行った。
総括一段反応燃焼モデルによる乱流拡散火炎の簡易シミュレーション手法 の開発
千野道洋、川上忠重
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本研究は、燃焼現象の簡易数値解析の指針を得るために、まず手始めとして総括一段反応燃焼モデルを用いたメタン乱流拡散火炎のフレームホルダー付近での温度分布、火炎高さおよび燃料出口温度等のシミュレーションを行うことにより、簡易型数値解析シミュレーションの妥当性についての検討を行った。
静止軌道におけるスペースデブリ衝突の数値シミュレーション
 -デブリの質量と形状の影響-

福島恵太、片山雅英、田中豊、新井和吉
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人工衛星等の耐スペースデブリ用シールドとして多く用いられているアルミニウム合金(A6061-T6)の、静止軌道上のスペースデブリ衝突速度域における貫通限界速度や破壊メカニズム等の検討を行った。デブリを模擬した飛翔体にもA6061-T6を用い、飛翔体の質量を4種類に変化させて衝突現象の数値シミュレーションおよび実験を行い、ターゲットの貫通限界速度や変形挙動等の検討を行った。さらに、飛翔体の先端形状を4種類に変化させた場合の数値シミュレーションおよび実験を行い、飛翔体形状による貫通限界速度や破壊メカニズムの検討も行った。
分子動力学法を用いた水のマイクロクラスターの相転移計算
蟹江了允、片岡洋右
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水分子8個・30個での水のマイクロクラスターの相転移についてシミュレーションした。分子動力学(MD)法を用いて計算し、熱力学量を調べた。計算方法としてキャリアガスとしてアルゴン原子を入れた相転移計算・水分子だけでのクラスター計算の2種類についてシミュレーションした結果から水のマイクロクラスター核生成自由エネルギーを得た。
荷電粒子系モデルに関する分子動力学シミュレーション
老沼宏益、片岡洋右
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分子シミュレーションにおいて、ポテンシャル関数の設定は必要不可欠である。分子動力学ソフトWinMAS PHYC2. Oproを用いて研究を行う。本研究においては荷電粒子系に関する分子動力学法を行うが、その中でポテンシャル関数の最適化と分子モデルの作成をして、臨界点付近のシミュレーションから荷電粒子系の分析を行った。
Snakesを用いた脊椎形状認識と骨粗鬆症診断への応用
近藤一光、尾川浩一、長岡智明、櫻井清子
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骨粗鬆症の診断では骨密度(BMD)を一つの指標としているが,BMD値と疾病の程度とが必ずしも相関しないことかおり,われわれは第三腰椎のCT画像から得られる情報を用いてさらに正確な診断を行う方法を検討してきた.本研究では第三腰椎X線CT画像を用いて,種々の領域の輪郭抽出を行い,そこから算出されたパラメータの有効性を調べた.ここで椎孔および骨皮質内部(椎体内海綿骨部)の輪郭抽出にはsnakesを適用し,輪郭抽出のための新たなエネルギー関数を導入し,高い精度での自動輪郭抽出に成功した.また,得られたパラメータの臨床的有用性についても検討を行った.
環境にロバストなナンバープレート文字認識方法
西村誠、尾川浩一
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本論文では相関係数マップを用いて、環境によるノイズや位置ずれなどにロバストなナンバープレート文字認識手法を提案する。テンプレートマッチングを用いて行われるナンバープレート文字認識は、認識する文字のセグメンテーションが正確に行われたときに高い文字認識精度が得られる。しかし、撮影対象となる環境から生じるノイズやリアルタイム処理によるノイズが生じた場合、正確なセグメンテーションを行なえないため文字位置のずれなどが生じ、認識精度は著しく低下してしまう。提案する方法では文字テンプレートの代わりに、文字テンプレートと位置の情報を用いて作成する相関係数マップを用いることにより、これらの問題を軽減することができた。
文書内における数式の構造認識
竹内朋之、尾川浩一
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数式を含む文書を認識しコード化することは、文字や画像のみによって構成される文書を処理することよりも困難である。これは、数式を構成するシンボル群が特定の規則に基づいて配置されているためであり、この認識においてはシンボル等の空間的位置関係を用いてその構造を把握しなければならない。本研究では、数式におけるシンボルや式の空間的位置関係から構造を認識し、TeXコードを出力するシステムを開発した。
オプティカルフローを用いた車両認識
矢口実、尾川浩一
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本論文ではオプティカルフローを用いて,精度の高い移動物体の認識を行う手法を提案する.オプティカルフローを求める手法のひとつに勾配法があるが,この方法は時空間における画像の濃度勾配と,オプティカルフロー速度を結びっける拘束式からフローベクトルを求めるものである.この拘束条件としてオプティカルフロー速度が画像全体でなめらかに変化することがよく用いられているが,この際,用いるパラメータの値は経験的に判断するか何度か計算を行って決定していた.本論文で提案する方法ではあらかじめ2つのパラメータの値を設定し,それぞれの値における計算結果を融合した処理を行うことで,フローベクトルの計算精度が向上した.本手法の有効性は実験によって確認された.
オブジェクト指向方法を用いた教育現場に役に立つ2次元骨組解析応用 ソフト
前田重行、深堀安二、武田洋
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近年、数値解析プログラミングにオブジェクト指向方法を用いる傾向があり、有限要素解析ソフト等に盛んにもちいられている。しかし、その様なソフトは商業ベースの物であり、かつ、大変高価である。そこで、この論文はオブジェクト指向方法を用いた教育現場に役に立つ2次元骨組解析応用ソフトを開発することにした。また、骨組解析の基本概念と2次元骨組解析の解析例を示す。
ペナン島ジョージタウンの空間構成
 -3次元可視化装置を用いた街並みの空間評価-

安藤直見、阿部浩久、石黒将史、國弘智基、飯田康寛
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サリーナ・ヘイズ・ホワイトは,「ペナン・都市の歴史」(Oxford University Press, 1991年)の中で,現在のマレーシア・ペナン島・ジョージタウンの様子を以下のように記述している。『ジョージタウンにそびえる65階建てのオフィスビル「コムター」の足もとで,薄暗い質屋では店の主人が算盤をはじき,屋台の店番はうちわで中華鍋の下の炭火をあおぎ,中国人のトライショーの運転手は自分の車の傘の下で昼寝をし,その背後には,近くのモスクから祈りの声が流れているのであった。歩道では,ビルマ人たちがゴマの種を麻布に広げて日干しをしている』。この記述に見られるように,ジョージタウンは,多様な空間が混在する町である。植民地時代を経て多民族が融合し,近代においては東洋と西洋の文化の融合が進んだ。また,近年では,新しい建物の建設が進む一方,世界遺産への登録の準備も行われ,歴史的建造物の保存・修復と再生・活用が図られ,歴史と近代が融合している。ジョージタウンには,単純に歴史的ではなく,単純に近代的でもないアジアの街の表情があふれている。本論では,ジョージタウンの街並みの多様な空間構成に注目し,その特質を把握することを試みる。
インターネットおよび主成分分析を用いた経営学教育の革新
 -法政大学教学改革小金井定量的経営学部門-

後藤公彦
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企業が経営戦略を策定し、正しい経営意思決定を行うために、
①高度で大量な経済情報を集め、
②収集した情報・データを解析し、
③直面する問題に対してスピーディーに解決策および経営戦略
を策定することのできる人材が求められている。法政大学小金井キャンパスの工学部・情報科学部では、このような社会のニーズに応える人材を育成すべく、経営学関連の講義・実験において、延べ5000人の学生・院生を対象としてオンライン講義システムおよびオンライン・コンピュータテスト(OCT)システムを展開・確立してきた。今回は「企業経営の解析・評価」を題材にした講義・実験実習の一例を公開発表し、日本の定量的オンライン経営学分野の教育システムの発展・質的向上を期す。
Web環境下での出席管理システム
石田則道
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新世紀になり、IT時代も成熟期を迎え、Web環境がどこでも利用できるようになった。法政大学工学部では、1年生を含む多数の学生にノートPCが貸与され、教室に常備されたコンセントから情報共有が可能になった。その上うな環境下でWebによる出席管理システムを構築し、対面教育への礎を築くことができた。
画像データ圧縮モデルの選択
松山佐和
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統計モデルでは、複数のモデルの中から最適なモデルを選択する方法として、モデルのAIC (Akaike Information Criterion)が最小のモデルを最適モデルとする手法が用いられている。本論文では、離散値系ウェーブレッド変換を用いたデータ圧縮の最適モデルの選択にAICの導入を提案する。画像データに応用する前に、2次元のモデルデータを設定しウェーブレッド変換によるデータ圧縮モデルにおいてAICの値が最小となる最適モデルを選択できることを示す。次に画像データに同様の手法を適用し画像データ圧縮の圧縮率の評価に有用であることを示す。