vol.16 (2003)

計算科学研究センター 研究報告
Vol.16, 2003 ISSN 1347-6726 2003年3月20日発行

気泡による液圧システム用冷却装置の流れ解析
田中豊、吉田利幸、間宣仁、鈴木隆司、小池一夫
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フルードパワーシステムの小型化と環境への配慮の観点から,できるだけリザーバタンクを小さくし,簡易な機構で効率よく作動流体の温度上昇を抑制するため,作動流体への空気の積極的な混入と攪拌およびその除去による空冷装置を提案した.この装置の空気の攪拌部と除去部では,作動流体の流れのエネルギーのみを用いて攪拌と除去が行われる.本研究では,この空冷装置の攪拌部と除去部において,その効果の確認のために行った流れの数値解析結果について報告する.
超高負荷タービン翼列内の流れの数値解析- 流入角による影響 -
松田巌樹、松本宗利、水木新平、辻田星歩
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次世代高出力・小型軽量タービンの開発のために、超高負荷タービン翼列内の流れをCFD(computational Fluid Dynamics)により解析した。本研究では、超高負荷タービン翼列壯能に対する流入角の影響を明らかにするために、流入角を75~85度と変化させ解析を行った。その結果、流入角の増加は、馬蹄形渦及び流路渦を増大させるだけでなく、翼負圧面上の剥離も誘発し、損失を高めることが確認された。
前方入口に障害物を置いた流路内に生じる逆流の数値解析
B.H.LGowda、水木新平、朝賀裕一朗
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流路入口に障害物を設置すると、流路内部に逆流が生じる。この現象は、はく離、再付着およびせん斷流れの干渉を含む。この現象については、様々な観点から多くの実験的な研究がなされてきた。本研究では、逆流の挙動を解明するため、CFD(computational Fluid Dynamics)により解析した。それらの結果は、逆流の発生を予測し、壁面後方に影響を及ぼす渦のような流れの特徴を示している。
静止軌道上におけるスペースデブリ衝突の数値シミュレーションと高速衝突試験
安田雄治、増田望、福島恵太、片山雅英、新井和吉、田中豊
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本研究では、スペースデブリ衝突時における宇宙構造物構成材料の損傷機構を解明し、耐衝撃新素材の創製を最終目的としている。本報告では、静止軌道上におけるスペースデブリ衝突現象を想定し、スペースデブリと宇宙構造物バンパーシールド構成材料を模擬したステンレス鋼(SUS304)衝突材とアルミニウム合金(A6061-T6)被衝突材による高速衝突現象の数値シミュレーションおよび高速衝突試験を行った。数値シミュレーション結果と高速衝突試験結果を比較し、数値シミュレーションの妥当性および被衝突材巨視的貫通破壊メカニズムについて検討した。また、衝突材の先端形状を変化させ、被衝突材の貫通破壊メカニズムへの影響を検討した。さらに、衝突材としてプラスチック系材料であるポリエチレン、四フッ化エチレンおよびエポキシFRPを用いて、アルミニウム合金被衝突材への高速衝突試験を行い、被衝突材の貫通破壊に及ぼす衝突材各種因子の影響について考察を行った。
総括一段反応燃焼モデルを用いたメタン乱流拡散火炎のシミュレーション について
海老沢寧紀、西本琢、星野敬哉、川上忠重
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現在、自動車の環境規制の強化の対応などで、構造の複雑化、多様化がすすんでいる。またエンジン内の現象自体も、乱流や燃料噴霧の気化、乱流燃焼などが伴う複雑な非定常現象であり、これを詳細に解析するには数値シミュレーションを用いた流体解析技術と高速可視化が有効である。そこで本研究では、手始めに総括一段燃焼モデルを用いてメタン乱流拡散火炎のシミュレーションをおこない、燃料及び酸化剤の流入速度が火炎挙動等に与える影響について検討を行った。
有限要素法によるミニターボの振動、応力解析
大竹雅浩、辻隆宏、岩原光男、水木新平
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現在、有限要素法はもうすでに確立されたものであると考えられがちであり、また、そのプログラムは完全にブラックボックスとして使われてしまっている。しかし、現在使われているプログラムが実際に最良の解析方法となっているかどうかということに疑問を抱いてみる必要かおり、今一度その内容について検討してみるべきではないだろうか。そこで今回は汎用有限要素法ソフトNastranと手計算による理論値およびPost処理における応力の違いを明らかにしたうえで、超小型遠心圧縮機用インペラーの振動と応力の解析を行い検討した
モード解析による打楽器シンバルの振動特性に関する研究
- 実験モード解析と理論モード解析の検証と比較及び構造最適化 -

石渡輝行、岩原光男、長松昭
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非線形最適化法は周波数領域で多点応答に拡張したものである。この手法をMATLAB言語を使用して組み込んだシステムを打楽器のシンバルに適用し、それと同時に有限要素法の結果と比較した。また、今回はさらに発展して構造変更の最適化を行った。
非線形最適化法による実験モード解析
石井孝志、岩原光男、御法川学
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実験周波数応答関数から統計的に最も確からしいモード特性を同定できる非線形最適化法を使用し,モード特性を求める.ユーザによる使い易さをMATLABによりプログラミングされた実験モード解析システムを使用する.本研究では,切り込みが入った円筒とRVリアパネルに適用し,同定されたモード杵肬と有限要素法による結果を比較・考察する.また,実験データの精度向上のために打撃試験装置を作製し,その有効性を検証する.
剛体球系の自己拡散係数
秋野洋佑、片岡洋右
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剛体球系は、単純物質の液体状態の理想モデルである。本研究では、剛体球ポテンシャルでの分子動力学法(MD法)シミュレーションを行い、その熱力学特性(プロパティ)を調べた。また剛体球系において、粒子が系の中で拡散していく度合いを表す比例係数である自己拡散係数を、平均2乗変位及び速度自己相関関数から計算する2種類の方法で求め、それらの違いや妥当性について検討した。
レプリカ交換法による長鎖状分子のモンテカルロシミュレーション
上田洋輔、片岡洋右
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真空中にある30個の正の電荷と30個の負の電荷を持った総数60個からなる長鎖状分子の畳み込みについてシミュレートしてみた。レプリカ交換モンテカルロ(REMC)法を用いて計算し、熱力学量を調べた。分子内相互作用はクーロン、バネ、ソフトコア相互作用から成り立っている。このポテンシャル関数を用い、初期構造として直鎖構造を与えてシミュレートした結果、二重螺旋構造を得ることができた。
画像認識手法による電子回路部品の識別法
中嶋由晴、早野誠治、斎藤兆古
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我々は動作中の電気・電子機器の周囲に発生する磁界分布を測定し、画像認識手法を適用することにより、電気・電子機器中の個々の部品の健全性を評価可能とする計算機支援型非破壊検査装置の開発を提案する。本論文では、その第1段階として、電気回路素子上の空間で測定される時間領域の磁界測定による電気回路素子の識別を試みる。時間領域信号の特性を抽出するために、本論文では等価固有値法を採用し、得られた等価固有値から3次元リサージュ図形生成する。3次元リサージュ図形から導かれる不適切なシステム方程式に最小二乗法を適用することで、それぞれの電気回路素子を識別する。
ベクトルカレントビューアによる電流分布の可視化
廣田章博、早野誠治、斎藤兆古
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近年、電子機器の小型軽量化を実現する方途として、電気回路を印刷技術で構成するプリント基板が開発され、広汎に用いられている。結果として、精緻な電気回路が平面上に実現され、高度な半導体集積回路の開発に伴って極めて小型軽量な電子機器の普及に繋がった。 他方、産業廃棄物が社会問題となる中で、プリント基板は精緻な回路を実装するために故障診断が不可能に近く、不良となった基板は廃棄されるのが通例である。また、回路の健全肬の検査工程においても人間の目視検査がせいぜいである。このような現状を鑑み、筆者らはプリント基板の非破壊検査を可能とするカレントビューアの開発を試みている。本論文では、プリント基板中の電流分布をリアルタイムで直接可視化するベクトルカレントビューアを提案し、その原理検証例を紹介する。
画像認識手法による磁化特性の評価
大窪雄亮、遠藤久、早野誠治、斎藤兆古
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磁性材料は磁区構造を持つ事が知られている。今日では磁性体の磁区を直接観察する多くの方法が提案され、磁性材料の品質評価に用いられている。磁性材料の品質評価は経験技術者の観察で行われるのが通例である。本論文では画像認識手法を用いて、磁性材料の自動品質評価装置を実現することを究極の目的として、磁性材料の最も基礎的な特性である磁化特性が磁区画像から生成可能である事を報告する。
変圧器型圧力センサーアレイとその応用について
田畑力、早野誠治、斎藤兆古
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近年、人工知能(AI)技術やロボットエ学の研究・開発に伴い、外界情報を感知するセンサーは極めて重要な要素となりつつある。中でも機械量を感知する圧力センサーは、車のドアの開閉部や計算機のキーボードなどのセンシングデバイスとしてすでに我々の身近に多岐に渡って存在している。しかし、開発されている全てのものが薄型を目指した2次元平面に対する応力測定であり、3次元ベクトル量を測れるセンサーは存在していない。本報告で提案する圧力センサーは、高さを持つスプリングを一次コイルとした変圧器型センサーであり、これをアレイ状に配置したセンサーアレイを製作し、人間臀部の圧力分布とその応用に関する測定結果を報告する。
画像認識手法を用いた磁界系非破壊検査
佐藤隆紀、早野誠治、斎藤兆古
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本論文は磁界の可視化手法に画像認識手法を応用した非破壊検査法を提案する.さらに,カラー動画像として可視化された動磁界分布から解像度や基準座標に依存しない不変量を抽出し,抽出された不変量から線形システム方程式を導出し,方程式を解くことによって画像認識を行う.非破壊検査の具体例として磁気素子の認識を行い,その有卦壯を報告する.
プリント基板上の周波数別電流分布推定
白石加奈子、遠藤久、早野誠治、斎藤兆
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異なった周波数で動作する単層、多層基板上の電流分布推定を試みた。簡単な単層、多層の解析モデルを導入し、モデル基板の垂直方向の磁界分布を実験と有限要素法による解析によって求め、周波数毎に電流分布を推定し、両者の比較を行った。
ウェーブレット変換に拠る高精度磁束分布計算
藪並隼人、早野誠治、斎藤兆古
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本論文は、有限要素法と磁気回路法の接点を見出し、磁気回路法で使われる技術者の経験的要素を有限要素法へ導入して、実用的な電磁機器の設計へ寄与できる現代磁気回路理論を提案するものである。さらに、この現代磁気回路理論による磁束分布にウェーブレッド変換を適用した結果、ウェーブレッド変換は磁束分布を評価するために有用な方法であることを報告する。
バルクハウゼン現象の可視化法に関する考察
勝又理毅、早野誠治、斎藤兆古
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鉄は磁気的には強磁性体に属するため,微視的には磁区構造を持つ。磁性体が磁化される場合,磁区構造へ変化が生ずる。この磁区構造が変化する過渡的状態で,バルクハウゼン現象が観察できる。バルクハウゼン現象を非接触で測定可能であれば,鉄を構造材とするあらゆる人工的構築物の非破壊検査が可能と考えられる。これはバルクハウゼン現象が鉄の疲労度などで異なるためである。したがって,バルクハウンゼン現象を利用した磁性体の非破壊検査法を考える場合,個々のバルクハウンゼン現象を識別することが最初の課題となり,本論文で検討する。
電気インピーダンス法による導電率分布の推定に関する一考察
間渕周介、早野誠治、斎藤兆古
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2次元物体の全周の投影図が得られれば投影図からその形状が再現可能である。これが、いわゆるトモグラフィーの基本的な考え方でありX線CTやMRIなどに応用されている。トモグラフィーの一種に電気インピーダンス法、Electrical Impedance Tomography (EIT)がある。 EITは投影図の代わりに電流を対象に注入した場合の対象周辺電圧を測定し、対象の導電率分布をトモグラフィーとして得ようとするものである。EITでは、注入電流に対する応答は周辺電圧として得られる。その際、対象が一様でない場合電流の注入箇所によって応答電圧は異なってくる。本稿では電流注入箇所に対する周辺のみならず対象上すべての電圧分布から導電率分布が推定可能かを検討する。すなわち、パラメータ推定に関する逆問題に関する考察を行う。
GAを用いた前立腺癌の最適治療計画
遠藤直樹、尾川浩一
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前立腺癌の代表的な治療法に、前立腺内に放射肬の密封小線源を刺入する放射線治療法がある。この治療では、疾患部に適切な線量を加えるとともに、尿道や周辺臓器への線量投与を抑えるように線源を配置する必要かおる。本論文では、遺伝的アルゴリズムを用いて前立腺へ適切に密封小線源を配置するアルゴリズムを検討した。
前立腺癌の密封小線源治療のための線源位置の同定
野田祐樹、乳井嘉之、尾川浩一
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前立腺癌の新しい治療法では、I-125線源を50~80個程度、前立腺内に永久刺人して治療が行われる。この治療において投与線量の正しい分布を得るためには、線源の位置を正しく測定する必要がある。ところが、一般のX線画像や超音波画像からでは、正確な線源位置を得ることができない。そこで、本研究では、隕られた方向からの投影データから線源位置を正確に求める方法を考案し、実験によって有効性を検証した。
ファイバーグレーディングデバイスを用いた呼吸による動き補償
玉川慶、尾川浩一
PDF   抄録
心筋SPECTにおいて、呼吸による体内の動きは再構成画像に深刻なぼけを発生させる。本研究の目的は胸部の動きを監視することで、投影データに含まれるぼけを補正することである。提案するシステムでは、SPECTデータ収集中の胸部の動きを監視するためにファイバークレーディンク装置とITVカメラを用いる。ファイバークレーディンク装置にレーザを照射すると空間上に格子パターンが生成され、これを患者の胸部に投影すると胸部上に輝点群が観測される。この輝点群の位置ずれを計測することでカンマ線が検出される位置を補正することができる。
軽量型単光子検出コリメータの提案
加藤純也、尾川浩一
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単光子放出核種の検出において、その入射方向を特定するコリメータが不可欠である。本研究では、従来から用いられてきたコリメータの設計基準を見直し、隔壁構造をやめ、格子状にクロスする四角柱あるいはワイヤを多層に積み上げた構造を採用した。このような構造にすることにより、従来とほぼ同じ性能のまま、その重さを従来の数分の1に軽量化することが可能となった。有効性はモンテカルロシミュレーションにて検証した。
公開鍵暗号と線形符号
松田修三、平松豊一
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本研究の目的は、公開鍵暗号と線形符号とを結びつけることにある。一般な線形符号の復号問題がNP一完全であることはよく知られている。このことを安全欧のよりどころとして公開鍵暗号を構成する。そして、符号をいかに選べばより安全な暗号が得られるかについて論じる。最後の節で、我々は一つの公開鍵暗号を提案する。
コラッツ予想について
三室智明、西村滋人、平松豊一
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コラッツ予想とは、関数fをmが奇数ならばf(m) = (3m+1)/2,偶数ならばf(m)=m/2と定義すると、任意の自然数mについてfn(m) = 1となるようなnが存在する、という予想である。数値実験の結果は肯定的であるが、未解決である。ここでは、サイクルとよばれる反例についての幾つかの結果をまとめ、問題の拡張と数値実験の結果を報告する。
自己組織化マップを用いた三次元画像構成の簡単な手法
坂本隆、広岡一
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3次元画像は我々の認識に多くの分野で有用なイメージ処理の手段であるが、ここではKohonenによる自己組織化マップ(SOM)と鳥や魚の集団運動のコンピュータグラフィックス(VOID)などに用いられてきた力学法則を組み合わせたニューラルネットモデルを用いて、写真などの平面画像情報から3D画像が自己組織的に構築されることを示す。
鋼I断面橋梁の主桁・横桁交差部の応力性状と疲労寿命評価
平山繁幸、秋本伸介、森猛
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鋼I断面橋梁の主桁・横桁交差部には数多くの疲労損傷が報告されている。その原因の1つとして、交差部が主桁ウェブ応力に加えて横桁フランジ応力が作用する複雑な応力場となることが考えられる。本研究では、実橋梁を対象とした三次元有限要素応力解析を行い、横桁下フランジが交差する主桁ウェブ側溶接止端部に2軸応力の影響により高い応力集中が生じることを明らかにした。さらに、応力解析結果を利用して交差部の疲労寿命評価を行った。
GISを活用した分布型流出モデルの海老川流域への適用
三堀恵、中山大地、岡泰道
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本研究では,鶴見川流域を対象とした解析で再現性が確認されている分布型流出モデルを,海老川流域に適用することにより検証を行った.また,流域分割に関して,これまでの河道網・尾根線を描画した結果を目安に目視により決定する方法を改善し,数値標高モデル(DEM)を指標とした客観的な分割法を採用した.その結果,ハイドログラフはよい再現性を示し,本モデルの海老川流域への適用性が確認された.
超高層建築物の窓外景観を前提とした視覚による振動知覚に関する研究
原健二、後藤剛史
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強風は、超高層建築物に並進振動、ねじれ振動という2種類の長周期水平振動を発生させる。これらの振動の内、並進振動に対して居住性の言平イ面という観点から人体反応や言耳面に関する研究が多く行われ、基準や挂油十が制定されている。しかし、この基準や挂油分ま、体感知覚による言平イ面のみを対象としている。本研究では、超高層建築物の窓外景観からの視覚情報によって振動を知覚したとき、その振動の評価に対する景観の影響、並進振動、ねじれ振動、合成振動(合成振動は、並進振動とねじれ振動が同時に発生する振動)についての評価の違いを調べたものである。
ビジュアル・シミュレーションについての一考察
石田則道
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電子計算機がこの世に産声をあげてから50余年、この分野の進歩のスピードはあらゆる領域に多大な影響をもたらした。その原点は記憶容量の増大に大きな関わりがある。この量的な変化が、あらゆる意味で質的な変化をもたらしたことは当然であり、その代表的な例を[文字]から「画像」へのパラダイム・シフトにみることができる。画像を構成する空間上のデザインを扱うビジュアル・シミュレーションは、IT時代の新しい境界領域を創生する分野である。
離散値系ウェーブレット変換のためのデータ補間
松山佐和
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離散値系ウェーブレッド変換で扱えるデータの個数は2のべき乗個に制限されているため、貴重な観測・計測データを十分に活かしきれない場合が多々ある。本論文では、データを十分に活用するための方法として、不連続関数がフーリエ変換により正弦波・余弦波の和として厳密に表現できることを利用して補間することを考えた。具体的には、データを実フーリエ級数で表して、その級数を用いてデータを内挿または外挿し、任意の個数のデータを離散値系ウェーブレッド変換で扱える2のべき乗個にあわせる方法である。この方法をいくつかの例に適用し、満足される結果を得ることができた。