vol.14 (2001)

計算科学研究センター 研究報告
Vol.14, 2001 ISSN 0913-8420 2001年3月31日発行

没入型仮想環境における装着型力触覚提示装置
山内久幸、雨宮賢一、田中豊
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近年,大型のスクリーンに仮想環境の立体映像を投影する没入型ディスプレイが多く開発されている.このような没入感のある広い仮想環境内で,操作者へ臨場感のある作業感覚を提示するためには,操作者が直接装着する事が可能であり,人間の持つ力覚,触覚といった複数の感覚へ作業情報をフィードバックする感覚ディスプレイの開発が重要である.本報では,作動源に空気圧を用いた装着型力触覚提示装置による,力触覚提示システムを構築し,仮想空間内における物体把握時の力触覚提示実験,および物体の姿勢認識実験の結果からシステムの評価と検討を行う.
二次元曲りダクトによるターボ機械内の流れの解明(断面形状の影響)
千田龍志、小松拓也、内藤正剛、辻田星歩、水木新平
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ターボ機械は航空用や車両用など身近な所で多く利用されているが,圧縮機の羽根車内の流れは非常に複雑である.また,ターボ機械内の流れは流路の曲率による遠心力及び回転によるコリオリカによって複雑な二次流れが生じる.特にターボ機械内に生じる二次流れの中で最も支配的なものは流路渦であり,損失発生の大きな要因となっている.流路渦が発生する基本的なモデル流路の一つに二次元曲りダクトがある.また,近年軸流タービン翼の高負荷化に伴い低アスペクト比化が進む傾向にある.本研究ではアスペクト比が流路渦の形成およびそれによる損失生成に与える影響を調べることを目的に,断面のアスペクト比が異なる5種類の二次元曲りダクト内の流れの数値解析を行った.
半経験的分子軌道法によるエステル交換反応の解析
近藤淳史、片岡洋右
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エステル交換反応(アルコーリシス反応)は、酸触媒、アルコキシド触媒のどちらを用いても行うことができる。しかしこれらの詳しい反応経路ついては、知られていない。そこで本研究では酢酸エチルとメタノールのエステル交換反応について、反応経路およびそれに伴うエネルギー変化をMOPAC(半経験的分子軌道計算プログラムパッケージ)を用いて解析した。その結果アルコキシド触媒を用いた反応のほうが、エネルギー的に有利であることが確認できた。また酸触媒を用いた場合、エステルとアルコールが1: 2で反応するであろうことも確認できた。
修正Marquardt法を用いたUNIQUAC式による液液平衡の相関法について
片山寛武
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液液平衡の相関には通常UNIQUACまたはNRTL式が使用されているが、そのパラメーターの決定には、液平衡特有の工夫がある。ここでは筆者が開発した修正Marquardt法を用いた非線形最小二乗法によるパラーメーターの決定法を解説した。
領域分割に基づくステレオビジョンにおける復元精度の向上
秋元崇、斎藤宏尚、浜野洋二、岩月正見
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著者らは,色領域分割から得られた領域に基づいて左右画像の照合をとることにより,画像間に幾何学的歪みやオクルージョンなどが生じている場合でもロバストな対応付けが可能であるだけでなく,密な視差マップを取得できるステレオビジョンの手法を提案した.この手法では,ステレオ画像の領域分割結果の領域輪郭から特徴点を探索し,同一色領域の特徴点どうしを照合することにより領域の正確な対応付けと3次元構造の復元が可能になる.しかしながら,特徴点位置はビクセル精度のため,エピポーラ拘束による完全な対応付けを行うことがむずかしく,3次元構造の復元精度もビクセル単位となる.そこで本論文では,最无推定法を用いて領域輪郭のコーナーのモデリングから特徴点を決定することにより位置誤差の大幅な軽減を図り,高精度に3次元構造を復元する手法を提案する.
アクティブビジョンによる3次元形状復元の高精度化と完全化
大石友明、勝又美由紀、岩月正見
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我々は,色領域分割に基づく左右画像のロバストな対応付けにより3次元構造復元ができるステレオビジョンの手法を提案した.しかしながら,取得される3次元地図は,誤対応や雑音などにより高精度な3次元情報が望めないばかりか,隠ぺいなどにより取得できない領域が存在することは避けられない.そこで本論文では,高精度すべき面や未取得面を決定できるような指標を定義し,それに基づいて視点制御を行い,再取得された3次元地図を融合して,高精度化・完全化を行うアクティブビジョンの手法を提案する.
輪郭視差の整合性を考慮したスキャンラインステレオマッチング
小笠原豊和、片瀬有一、岩月正見
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ステレオ画像をスキャンラインごとに色領域分割して照合する従来手法では,同じ色の領域が多く存在する部分では誤対応が多く,正確な三次元構造が復元できない場合がある.そこで,本論文では,画像全体での色領域分割結果とスキャンラインごとの対応点探索結果から,境界上の対応点が最大の領域を選ぶことにより,正確な対応領域を決定し,誤対応を修正できる手法を提案する.
一様色領域とテクスチャ領域の分離による3次元形状の復元
佐藤正太、阿部伸生、岩月正見
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一様な色の面ごとに対応領域を探索した従来のステレオビジョンによる手法のみでは,テクスチヤのような色変化の激しい面に対し,3次元形状を復元することは困難であった.そこで本論文では,ステレオ画像中のテクスチヤ面のみを分離し,一様な色の面には従来のステレオビジョンを適用し,テクスチヤ面には同一テクスチヤごとに照合を取ることにより3次元形状を復元する手法を提案する.本手法を用いることにより,今まで困難であったテクスチヤ面と一様な色の面が混在するようなシーンに対しても,3次元形状の復元を行うことができる.
相関ステレオ法のための探索範囲の限定と隠ぺい検出
鈴木俊生、瀬戸義仁、岩月正見
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従来の相関法によるステレオビジョンでは,オクルージョンによって視差が急激に変化する付近では正確な対応点を決定できず,視差を精度よく求めることができない場合がある.そこで本論文では,相関ステレオ法を適応する前に,スキャンラインごとに左右両画像を色領域分割し,左右領域の同一色系列パターンを検出するにより,マッチングを行う範囲を限定して,対応点探索が行える手法を提案する.このような前処理を行うことにより,オクルージョン領域をあらかじめ除去することができるため,視差すなわち奥行きの不連続な境界でも誤対応が大幅に軽減される.
バイナリーニューラルネットの効果的な学習アルゴリズムについて
島田政範、斎藤利通
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Binary Neural Networksの新しい幾何学的学習アルゴリズムを提案する。 BNNは入出力がバイナリー信号のフィードフォワードニューラルネットである。幾何学的学習アルゴリズムは超平面による、分離を用いており、簡素であるが、非常に学習速度が早く、また、ハード化に適している教師あり学習アルゴリズムである。本学習アルゴリズムでは、実際には入力されない信号を仮想入力として用いる。これによって、従来は困難であった中間層が少なく、結合パラメータのばらつきが少ないネットワークが構成できる。
準解析的方法による電磁界解析手法の提案
渡澤泰之、早野誠治、斎藤兆古
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一般に、電磁界解析は、有限差分法・有限要素法等の微分方程式法と境界要素法等の積分方程式法で行われている。以前、微分・積分方程式法の何れにおいても必然的に行われる離散化へ着目し、離散化された微小分割要素へ古典的な解析解を適用する準解析的電磁界解析法を提案し報告した。本報告では、変位電流を導体間のキャパシタンスとして考慮した新しい準解析的方法について述べる。
最小自乗法による多層電流分布推定法
高橋広幸、早野誠治、斎藤兆古
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現代の電気電子デバイスでは多層構造をもつプリント基板形配線が広汎に使われている。電子デバイスを解体せずに内蔵された各プリント基板上の電流分布を可視化することができればデバイスの検査や、EMC問題を検証する上で重要な役割を果たす。 本論文には局所的に測定した周辺磁界分布から各プリント基板の電流分布を推定する方法を提案する。磁界を利用した電流の可視化は不適切な逆問題を解かなければならない。本論文では最小自乗法を用いることで信頼性の高い非破壊検査方法を提案する。
磁気センサー信号処理に関する考察
茂田幸康、早野誠治、斎藤兆古
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多くの磁気センサー信号は時系列の1次元データとして得られる。他方、磁気センサーを移動することにより磁気センサー信号の空間分布も知ることが可能である。本報告で提案する磁気センサー信号処理とは、時系列信号特性としてのみならず、磁気センサー信号の空間分布特性を前提とする1連の信号処理方法に関するものである。周知のように磁気センサー信号は、磁界入力に対する被測定対象の応答信号であり、この応答信号は被測定対象の磁化特性、導電率、形状などの物理情報を反映したものである。したがって、磁気センサーの出力信号から被測定対象の物理情報を分離すれば、被測定対象の物理情報が得られることとなる。このように磁気センサー信号から物理情報を計算機で自動的に抽出する信号処理が本研究の究極の目的である。本報告では、このような信号処理方法開発の予備実験として、時系列1次元信号から被測定対象固有の特性抽出法について吟味する。より具体的には、馬蹄形磁石のNS磁極間を被測定対象が一定速度通過する場合、サーチコイルに誘起する電圧波形から被測定対象が磁性体か否か、形状などを計算機で判定する方法について吟味する。
有限要素法による差動磁気センサーの解析
河内裕記、遠藤久、早野誠治、斎藤兆古
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本論分では、試作した差勣コイル型磁気センサーの磁界分布を有限要素法を用いて解析する。そして、実際に測定した磁界分布と比較し、磁界分布の特徴を考察する。また、有限要素法により求めた磁界分布に時間方向へのウェーブレッド変換の多重解像度解析を行い、励磁コイルによる磁界とターゲット金属の渦電流による磁界に分離する。
立方体内の準3次元電流分布推定
関島大志郎、早野誠治、斎藤兆古
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本論文ではノイズ処理の一方法を提案する。まず始めに,準3次元電流分布の推定に一般化ベクトルサンプルドパターンマッチング法を適用する。そして,主要な電流分布を抽出するために,得られた準3次元電流分布に3次元ウェーブレッド変換の多重解像度解析を適用する。その結果,立方体内の準3次元電流分布を推定することに成功したのでここに報告する。
磁界の固有パターンを用いたコイル素子の認識
若林健一、早野誠治、斎藤兆古
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計算機のスクリーン上に表現される画像データは,通常,x,y直交座標上の赤(R),緑(G)そして青(B)画素成分から構成される。このことを利用し画像本来の性質を抽出する方法としてR,G,B直交座標を考え,この3次元直交座標上へx,y座標上の原画像を投影することで,画像の固有パターンを抽出する。可視化された磁界分布画像の固有パターンを用いたコイル素子の位置推定問題では,良好な結果を得ることができた。本論文では,ループ電流モデルを用いた電流分布推定を応用し,コイル素子が接近している場合においても位置推定が可能であるかを考察する。
単一平面励磁コイルによる磁界分布制御
江間晃、早野誠治、斎藤兆古
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本論文では、逆問題的手法に基づいた磁界分布を制御する新しい方法論を提案する。その第一段階として、単一平面励磁コイルにより所望の磁界分布を実現することを試み、逆問題的手法として最小自乗法とGVSPM (Generalized Vector Sampled Pattern Matching)法の2方法を適用する。その結果、逆問題的手法が物理的に実現可能な結果を与え、シミュレーション、検証実験により本手法の妥当性を確認した。
磁気センサー信号処理と認識
妹尾勇、早野誠治、斎藤兆古
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本論文では、磁界入力に対する応答信号が被測定対象の磁化特性、導電率、位置、形状などの多くの情報を含有している点に着目し、磁気センサー信号を可視化し、画像認識的手法を用いて被測定対象の位置情報識別可能性に関して検討する。より具体的には、時系列の磁気センサー信号から3次元リサージュ図を作成し、1次元時系列信号を3次元画像へ変換する。本論文は、このよ引こして得られた3次元画像へ画像認識手法を適用し、被測定対象の位置推定に関する結果を報告する。
平面インダクターの設計に関する考察
鳴田知和、遠藤久、早野誠治、斎藤兆古
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数値シミュレーションの結果から、反磁界係数が小さいコア形状では磁性体コアの周波数特性がインダクターの特性に直接反映し、反磁界係数が大きい薄型の場合、磁性体コアの周波数特性の影響が低下し、インダクタンスが減少することを報告する。
画像の偏微分方程式による磁性材料の評価
遠藤久、早野誠治、斎藤兆古、藤倉昌浩、開道力
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複数の異なる磁化状態における方向性電磁鋼鈑のSEM画像を用いて,電磁鋼鈑の特性抽出をおこなう微視的には,画像のヘルムホルツ方程式から導出される状態遷移行列の固有値から方向性電磁鋼鈑の磁区挙動解析をおこない,鉄損発生部を可視化する.巨視的には,磁区挙動の解析結果と与えられたSEM画像から任意の励磁状態に対する磁区パターンおよび,電磁鋼板全体としての磁化曲線を計算する.
有限要素法に基づく磁気回路解析法-準三次元問題への拡張-
藪並隼人、早野誠治、斎藤兆古
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本論文は、有限要素法と古典的磁気回路法の接点を見出し、数学的背景が明確な磁気回路法を確立する一方途を議論するものである。具体的には、有限要素法では容易に解析可能な問題である反面、従来の磁気回路法ではモデル化か困難な例題を通して、有限要素法と磁気回路法の接点を見出し、磁気回路法で使われる技術者の皆験的要素を有限要素法へ導入して、実用的な電磁機器の設計へ寄与できる現代磁気回路理論を提案する。
SPECTにおける吸収散乱の解析的補正法に関する研究
渡辺典博、尾川浩一
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SPECT画像の再構成ではγ線の吸収、散乱やコリメータの開口などが画像の定量性をそこなう原因となる。本研究ではそのうち吸収と開口の影響を解析的に補正する手法の問題点を検討した。シミュレーションでは、吸収及びコリメータ開口の影響をうけた投影データを作成するため、まず吸収の影響をうけた投影データに対し、それらに開口関数をコンボリューションすることで開口の影響を与えた。さらに投影データにポアソンノイズを加えた。この結果、特に開口補正の実施において、雑音の影響が無視できないことがわかった。
時系列信号の非定常性検出・状態分類手法の提案
遠藤雅明、水田博久、八名和夫
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ネットワータトラヒッタ時系列,音声信号,脳波等の非定常な時系列信号の解析において状態変化の検出・分類が必要となることは多い.このとき事前に存在する状態がわからない場合には教師無IU学習が必要とされる.そこで本稿では非定常時系列信号を対象とUた教師無し学習による新たな分類手法を提案する.これはLatticeフィルタと自己組織化マッフ1 (Self-Organizing Maps:SOM) を組み合わせるごとで実現される.本稿ではまずLatticeフィルタの概要と適応推定方眼SOMの特徴である近傍の概念について述べ次にARモデルに基づくシュミレーションヨンデータと人の音声データを用いた解析結果を報告し,提案手法により良好に検出・分類が行われることを示す.
情報ネットワークにおけるSNMP時系列のハーストパラメータ推定
篠秀明、大久保智史、秋元仁、八名和夫
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近年の(World Wide Web)の利用を中心とするインターネットの急速な普及によりネットワーク上には大量のトラヒッタが生じており、さらにそのトラヒッタぱ増加の傾向にある。そこで、ネットワータトラヒックの統計的性質を明らかにずることによって分散制御などをおこない負荷を分散することでネットワークの効率的に運用することが必要となる。ネットワータトラヒックには自己相似性とよばれる時間スケールの変換に対して変動性が変わらないという性質がみられるという報告がなされており、同時にこの自己相似性がパケット棄却率やファイル転送遅延時間などといったネットワークの性能の低下をもたらすという報告も存在する。そこで本論文では, SNMPネットワータトラヒッタ時系列における自己相似性の有無の検証をずるためにR/S解析を用いて自己相似性の強さを示す指標であるハーストパラメータを推定した。
自然要素法の固体力学問題への応用
松尾悟志、武田洋
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自然要素法は,最近開発された数値解法であり,高精度のメッシュレス解法を構築するための基礎として,固体力学の問題に対して応用されている.二次元問題に対して,この方法はVoronoi図とDelaunay三角形を背景とした自然近傍補間節点を用いた補間を基礎とするもので,地球物理現象の多変量データ補間の方法として誕生している.ここでは,自然要素法の固体力学問題への応用について,基本的な解析実験を行い,その結果と考察を行った.また,自然近傍を台とする他の補間方法として,non-Sibsonian補間について簡単に述べる.
流出解析における細密数値情報の活用に関する基礎的研究
松浦祐樹、小寺浩二、岡泰道
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分布型流出モデルを用いて流出解析を行うためには、地理情報の空間分布の表現が必要である。本研究では、地理情報システム(GIS)を用いて、国土地理情報のひとつである細密数値情報を分布型流出モデルに適用し、鶴見川流域を対象として、その有用性を検討した。流出モデルのパラメータである土地利用区分毎の流出係数の評価方法、都市河川流域での流出抑制施設のモデル化などの問題点も残されているが、水文流出解析への適用性はかなり高いことが確認された。
ハイブリッド型ペナルティ法による進行型破壊の解析
大木裕久、竹内則雄、草深守人、武田洋
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本論文では進行型破壊の解析法を開発することを目的に,ハイブリッド型仮想仕事の原理を基礎とする,引張破壊を考慮した材料非線形解析法について述べる.この方法では, Lagrangeの未定乗数にRBSMのばねぼ概念を導入し,このばねをペナルティと考えることで,近似的に部分領域境界面上の変位の連続性を導入する.初めに,本手法の定式化を示し,続いて,簡単な例により,本手法によって得られる解の特性について検討する.
ハイブリッド型ペナルティ法による浸透流問題の解析
石垣智明、竹内則雄、草深守人、武田洋
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ハイブリッド型モデルの考え方を浸透流問題に適用した新しい離散化手法として,ハイブリッド型ペナルティ法(HPM)を提案する.まず,水頭(ポテンシャル)の連続性を付帯条件として,これをペナルティにより一般的な重み付き残差法定式に導入した定式化を示す.続いて,水頭をテーラー展開し.1次項までで水頭場を表現して離散化方程式を誘導する.本手法は,水頭場を部分領域毎に独立に設定するため,任意の部分領域形状を用いることができ,複雑な地盤領域も容易に細分割することができる.本論文において定式化とともに簡単な数値計算例により,本手法による解の特性を検討する.
雪崩の運動走路に関するシミュレーション手法
竹内則雄
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雪崩の危険を回避するために必要である,雪崩の運動走路を明らかにすることを目的としてPerlaのモデルを基礎とした,前野・西村や納口らの方法により3次元地形における雪崩運動を解析する.この方法は,質点の運動を扱っているため,雪崩の広がり幅を求めることができない.そこで,本研究では,質点中心から任意の方向に雪崩が広がるという仮定を設けて,雪崩の広がり幅を求める解析法を提案する.さらに実地形に関するシミュレーションを行い,本手法による解の特性について述べる.
飽和粘性土の圧密降伏関数と3次元弾塑性-圧密連成問題に関する研究
大橋正未知、草深守人、竹内則雄
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飽和した多孔質弾性体の線形圧密問題に関する支配方程式がBiotによって導かれた.しかしながら,この方程式は,地盤を弾性体として扱うなど実際の圧密特性を十分に表現していない仮定を含んでいる.本研究では,土粒子骨格構造を弾塑性体として扱うものとし,降伏関数として限界状態論に基づくCam-clayモデルを拡張した新たなモデルを示し,具体的に3次元弾塑性-圧密有限要素プログラムに導入した.また,その実用性を評価するために,弾塑性解と線形弾性解の比較を行った.その結果,弾塑性解析から評価される圧密速度は,線形弾性解に比べかなり遅く,かつ線形弾性解による圧密沈下量は過小評価されることを示した.
有限要素解析プログラム開発におけるオブジェクト指向設計の有効性評価に関する研究
富岡洋一、草深守人、竹内則雄、武田洋
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木分野で対象とする問題の多くは,諸々の条件が関与する非常に複雑な現象である.これに伴い,プログラムの逐次変更・修正の必要性・難易度は増加の一途を辿っている.本研究ではオブジェクト指向に基づく有限要素法のプログラミング及びモデル化を行った.使用した言語はUML,Javaである.従来からの手法である手続き型指向との比較の結果,オブジェクト指向設計の有効性は認められ,これを用いることの動機も充分に存在するという結論に達した.
有限要素プログラム開発へのオブジェクト指向設計の導入とJava言語による実装
佐藤匡史、草深守人、竹内則雄、武田洋
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本研究はオブジェクト指向プログラムの設計、実装、有効性について考察することを目的としている。有限要素解析をUnifiedModelingLanguageを用いて設計を行い、オブジェクト指向言語Javaを用いて実装した。そのプログラムを手続き指向言語FORTRANにより実装されたプログラムと比較した。その結果Javaにより実装されたプログラムはFORTRANで実装されたプログラムとほぼ同等の性能であった。このことから、有限要素解析のオブジェクト指向プログラムは技術計算の分野においても十分に有効である。
飽和粘性土の非線形弾性・透水構成則と3次元圧密解析
板倉大祐、草深守人、竹内則雄
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圧密支配方程式の数値解析では、材料パラメータは圧密進行中において一定として扱われることが多い。しかしながら、圧密は、間隙水の排水を伴いながら間隙の有効径を縮小し、土粒子骨格をより密な構造へ移行させる過程である。したがって圧密過程では、間隙水の流れと土粒子骨格構造の変形を支配するそれぞれの構成モデルは、当然のことながら非線形モデルとして扱わざるをえない。圧密の進行に伴う間隙比、透水係数および体積圧縮係数の変化を調べるために、正規圧密粘土を使った圧密~透水試験を行った。この試験結果に基づき、透水係数を間隙比(体積ひずみ)の関数として表現した間隙水の流れに関する非線形構成モデルを示した。また、土粒子骨格の弾性係数を静水圧有効応力の関数とした非線形構成モデルを示した。さらに、これら2つの構成モデルを組み込んだ三次元圧密プログラムによる2・3の解析例を示し、線形との比較および考察を行った。
ウェーブレット変換を用いた振動データの数値積分・微分法
小口雄康
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数値積分,微分の原理は簡単であるが,自然地震動のような激しい振動に雑音が重なった記録では必ずしも有効ではない.特に,2階積微分ではほとんど無力である.これは信号に含まれている低振動数雑音が積分に,高振動数雑音が微分に大きな影響を与えることに起因する.本報では,Mexican Hatを用いた連続ウェーブレット変換逆変換とFourier変換の組合わせからこの低振動数,高振動数雑音を分離できることを示し,簡単な波形と自然地震波形についての計算例から,その有効性を実証した.
「電子透かし」についての一考察
石田則道
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インターネットの普及は、ディジタル社会を生み出し、画像や音声などのマルチメディア・データを容易く取り出し、再利用することができる。そのようなディジタル著作物の不正利用を防止するための技術に「電子透かし」がある。その技術の骨子は「主情報に人間には知覚できないような副情報を埋め込む」ことである。ディジタル著作物にID情報などを透かし情報として埋め込む場合、原画像に直接埋め込むのではなく、一旦、周波数変換をしてから埋め込み処理をする方法について検討する。
三次元ウェーブレット変換によるベクトル動画像
松山佐和、小口雄康、松山志保、斎藤兆古
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風のデータをベクトル動画像として扱い、空間・時間の両領域にまたがる大容量3次元ベクトル画像にウェーブレット変換を適用する。離散値系ウェーブレット変換の特徴はウェーブレット変換スペクトラムのマザーウェーブレット近傍要素にデータの平均的特性を抽出することにある。この特徴がベクトル動画像データの圧縮およびノイズ低減を可能にしている。ここでは、離散値系ウェーブレット変換を用いて風のベクトル動画像データの情報量を縮小する方法と情報量の少ないデータを人間の視覚能力に応じて情報量の多い動画像に再現する方法を考察する。