vol.13 (2000)

計算科学研究センター 研究報告
Vol.13, 2000 ISSN 0913-8420 2000年3月31日発行

地形学・水文学における地理情報の処理手法について
 (数値地形モデルを用いた流域地形計測の試み)

中山大地、小寺浩二
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地形学、水文学などの地球科学分野では、近年地理情報システム(GIS)を用いた解析が行われるようになってきた。GISで扱うデータにはベクトル型データとラスタ型データがあり、ラスタ型データには衛星画像や数値地形モデルなどがある。地形学、水文学の分野ではDEMから流路網を抽出し、これを用いて地形計測を行ったり流出モデルを構築するといったことが必要になる。流路網と絡めた場合、DEMはラスタ型データにも関らず、ネットワークの構造を持つことになる。このため、画像解析によく使われるフィルタ型の演算だけでは処理をすることができなくなる。そこで、本稿では流路ネットワークとDEMを使った地形解析の実際について述べ、そのアルゴリズムを紹介する。
三次元分布データの可触化による流れ場の表現
川面健司、田中豊
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科学技術データをいかにわかりやすく人間に伝えることができるかという問題が重要になってきている.最近のコンピュータ技術の進歩で,実環境下の物理現象を表す三次元分布データの表示がコンピュータグラフィックスによって可能である.しかし,三次元分布データの理解において従来の視覚提示手法では現実感,相互作用感を表現するには限界がある.そこで,本研究ではデータの理解に,より多くの情報を直感的に理解できる新しい洞察の機会を与えることを目的とし,三次元分布データを表示する際,実物を使った視覚と人工現実感技術を使った触覚を結び付けている.本報では,人工現実感技術を応用し,空間の各座標での圧力や密度などを定義した三次元分布データによるボリュームモデルの可触化システムの構築結果について報告する.
ネットワークを介した建設機械の遠隔操作
大場智章、工藤直敏、田中豊、一柳健
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近年の科学技術の進歩と人々の行動範囲の拡大に伴うニーズの多様化により,作業機械は様々の環境下で使用されるようになった.今後も作業機械の使用範囲は拡大し,人間が直接作業できない劣悪環境下での利用が期待されている.ここで注目されている技術が遠隔操作である.さらに,最近のネットワーク技術の著しい進歩に伴い,簡易な形で情報の伝達が可能になっている.これらの時代背景を踏まえ,ネットワークを介した建設機械の遠隔操作システムの構築を行う.本報では,遠隔操作システムに対するバーチャルリアリティ技術とJAVAを用いたデータ通信システムの適用について報告する.
仮想空間内における装着型触覚ディスプレイの開発
雨宮賢一、田中豊
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近年,高解像度プロジェクタを用いて大型スクリーンに仮想空間の立体映像を投影する没入型ディスプレイが注目されている.このような没入感のある仮想空間内で,操作者と仮想空間とのあいだで臨場感のある双方向性を実現するためには,操作者に直接装着して広い行動範囲を確保する装着型接触感覚ディスプレイの開発が重要となる.本報では,マトリックス状に配列された複数のノズルから空気流を噴射させ,それらの位相を変化させて操作者の指先に接触感覚を擬似的に提示する触覚ディスプレイの,提示予備実験の知見と試作装置への適用結果,および立方体を用いた触覚提示実験の結果について報告する.
サイバー空間における物体の変形と力感覚提示
坂間裕孝、田中豊、荒木孝昌
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人工現実感生成技術を応用してシミュレーションやトレーニングなどを行う場合,力感覚や接触感覚などの情報を操作者にフィードバックすることができる触覚ディスプレイと計算機内に構築したサイバー空間における現実感のあるオブジェクトのモデルの2つの要素が不可欠である.また,オブジェクトの変形を表現するためのアルゴリズムに用いられる定数は,表現する物体の性質と密接に関連しているにも関わらず,試行錯誤的に決定しているのが現状である.本研究ではサイバー空間内でオブジェクトの変形を表現するために,感覚提示装置との組み合わせを想定し,リアルタイム処理を重視した,仮想変形オブジェクトモデルを提案するとともに,仮想変形オブジェクトの変形アルゴリズムに用いられる定数を実験的に評価し,その評価結果に基づいて決定した定数を仮想変形オブジェクトモデルに適用し,触覚ディスプレイを用いた提示実験により,その妥当性を検討した.
曲りダクトによるターボ機械内の流れの解明
石田泰大、北原聡文、千田龍志、辻田星歩、水木新平
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航空用ジェットエンジンなどに使用されるターボ機械の流路内では、作動流体に流路の曲率による遠心力および回転によるコリオリ力が作用し複雑な二次流れが生じ、段効率さらには機械の全体性能に大きな影響を与える。このようにターボ機械内では複数の二次流れによる渦が生じ、それらの干渉により非常に複雑な流れの様相を呈する。従って、このような流れ場の挙動と損失発生の因果関係を直接実機を用いて解明することは非常に困難である。したがって、本研究では実機の流路から回転の効果や流路の曲率を部分的に取り除いたモデル流路内の流れを解析し、各種の二次流れ単体と損失発生のメカニズムを解明した。
分子軌道法による化学反応の解析
近藤淳史、片岡洋右
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分子軌道(MO)計算を用いた分子の物性・反応性の理論的解析は、その重要性は指摘されながら、実験を専門としている研究者にはあまり利用されてこなかった。これは、MO計算の適用可能な分子の大きさが、実際の実験で用いている分子と大きくかけはなれていたこと、取扱いの簡単なプログラムがなかったことや大型計算機の使用料の高さが原因であった。しかしながら最近では、これらの問題は解決している。そこで本研究では、半経験的分子軌道計算プログラムパッケージMOPACを用いて解析を行い、化学反応機構について検討した。
酢酸の二次元水素結合モデルのモンテカルロ法計算
山田祐理、片岡洋右
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酢酸は、その水素結合作用により、液相では鎖状構造、気相では二分子が二本の水素結合で結ばれたcyclic dimerの構造をとる。この構造変化は、相転移あるいは蒸発凝縮過程にて起こっていると考えられ、その様子を明らかにするために、水素結合の特徴をよく表す簡単な二次元モデルを作成した。本研究では、モデルの妥当性を確かめるために、モンテカルロ法によるシミュレーションを行い、相転移の温度・密度依存性を調べた。
電気・電子機器の周辺電磁界分布可視化に関する研究
宮原晋一郎、早野誠治、斎藤兆古
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本論文では電子機器近傍の電磁界分布を可視化する一方法を提案する。まず最初に、局所的に測定された磁界から磁界源分布を逆問題的手法で推定する。次に、推定された磁界源から電子機器近傍の磁界分布を計算し可視化する。ここでは周辺に放射される磁界源を可視化する為に局所2次元の電流分布を組み合わせる準3次元的手法を提案する。
変形ロゴスキーコイルを用いた電流分布推定
青木誠、早野誠治、斎藤兆古
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本論文は、プリント基板上に存在する電流分布を推定するため、センサー及びソフト的処理方法としてデコンボリューション法を提案する。本論文で提案するセンサーは、アンペアの周回積分の法則を直接利用するロゴスキーコイルを変形した構造からなり、センシングコイルは電流が流れる銅線の全周を取り囲まない構造である。本論文では、同サイズのソレノイドコイルと比較することで、変形ロゴスキーコイルが電流の作る磁界を高い空間解像度に測定可能であることを示す。また、測定コイルによって得られる出力信号は電流と測定コイル間の空間特性を包含したものである。そこで予め測定コイルの空間特性を用意しておき、測定データから空間特性を取り除くデコンボリューション演算を用いることで電流分布の可視化が可能であることを報告する。
一般化SPM法による二次元電流分布推定(ウェーブレット変換との併用
関島大志郎、早野誠治、斎藤兆古、澤田彰、堀井清之
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本稿では、不適切な線形システムの新しい反復型逆問題解析法を提案する。そして、この反復型解法を電流分布推定問題に適用し、さらに多重解像度解析を行い、ノイズベクトルを削減することで良好な結果が得られたのでここに報告する。また、この反復型解法の数学的な背景はこの解法が絶対的に安定した反復型逆問題解析法であることを示す。
最小自乗法による電流分布推定
高橋広幸、早野誠治、斎藤兆古、國井利泰、澤田彰
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現代の電気電子デバイスではプリント基板形配線が広汎に使われている。電子デバイスを解体せずに内蔵されたプリント基板上の電流分布を可視化することができればデバイスの検査や、EMC問題を検証する上で重要な役割を果たす。本論文には局所的に測定した磁界分布からプリント基板の電流分布を推定する方法を提案する。磁界を利用した電流の可視化は不適切な逆問題を解かなければならない。本論文では最小自乗法を用いることで信頼性の高い非破壊検査方法を提案する。
画像の固有パターンと磁界分布解析への応用
若林健一、早野誠治、斎藤兆古、國井利秦、堀井清之、佐久間正剛
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コンピュータスクリーン上における画像の各画素を構成する赤、緑、青の3成分の組み合わせから、画像固有のパターンを抽出することができる。またx、y、zの3成分からなる磁界分布からも同様に固有パターンを得ることができる。ここでは低解像度磁界分布画像から高解像度磁界分布画像を再構成・認識する問題を通じて磁界分布の固有パターンの有用性を検証する。
微分方程式による磁界分布の可視化
遠藤久、早野誠治、齋藤兆古、國井利泰
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本論文では、画像処理の一方法とそれを応用した電磁界ベクトルフィールドの可視化方法を提案する。第1に、本論文で提案する画像処理方法を電磁界分布解析へ応用するために、3次元ベクトルフィールドをカラー画像で表現する。そこで得られる画像を偏微分方程式で記述し、その方程式を解くことであらゆる画素数の画像を生成する。結果として、測定点数の少ないデータからより詳細な電磁界分布データが得られる。第2に、検証実験として、高周波駆動を前提とするフィルム状変圧器を用いたDC/DCコンバータ周辺に分布する磁界を測定し、本手法を適応する。
色領域分割による領域輪郭の3次元形状復元
河野祐輔、北川大二、岩月正見
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従来のarea-based matchingによるステレオ視の手法では,画像中に繰り返しパターンが存在するような場合,相関値によって一意に対応付けすることができず,視差を決定できないという問題点がある.そこで,色領域分割された画像をスキャンラインごとに照合していくことにより,ロバストな対応付けを行うことのでき,密な視差マップを得られる新しいステレオマッチングの手法が提案されている[1].本論文で提案する手法では,さらに画像全体の色領域分割結果とスキャンラインごとの対応結果から,境界上の対応点が最大の領域を選ぶことにより,正確な対応領域を決定することができるだけでなく,誤対応を修正することができる。
相関ステレオ法のための色領域分割による探索範囲の限定
工藤弘義、岩月正見
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従来の相関法によるステレオビジョンでは,オクルージョンによって視差が急激に変化する付近では正確な対応点を決定できず,視差を精度よく求めることができない場合がある.そこで本論文では,相関ステレオ法を適応する前に,スキャンラインごとに左右両画像を色領域分割し,左右領域の同一色系列パターンを検出するにより,マッチングを行う範囲を限定して,対応点探索が行える手法を提案する.このような前処理を行うことにより,オクルージョン領域をあらかじめ除去することができるため,視差すなわち奥行きの不連続な境界でも誤対応が大幅に軽減される.
テクスチャを用いた曲面の領域照合と3次元形状の復元
阿部伸生、岩月正見
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著者らは,色領域分割から得られた領域に基づいて左右画像の照合をとることにより,画像間に幾何学的歪みやオクルージョンなどが生じている場合でもロバストな対応付けが可能であるだけでなく,密な視差マップを取得できる手法を提案している.しかしながら,このような色領域に基づく手法では,布地などのようなテクスチャパターンをもつ物体の表面に対しては,分割領域が小さすぎて照合がとれないという問題点があった.そこで本論文では,照合精度の高い小領域のみをシード領域として採用し,このようなシード領域に対する周辺画素の相関とテクスチャの有効性を考慮して,照合領域を拡大していくことにより,テクスチャパターンをもつ複雑な形状の3次元復元を行う手法を提案する.
積分発火ニューロン回路の量子化機能について
川崎祥史、鳥飼弘幸、斉藤利通
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2つの周期入力が印加できる積分発火ニューロン回路を考察する。同回路は入力に依存して多様な発火パルス列を出力するが、本論文では、典型的な現象を紹介する。まず、正弦波状の第1入力を印加し、その振幅を変化させると、パルス列は周期的なものからカオス的なものへ分岐していくことを示す。次に、パルス列の第2入力を加え、その周波数を調節すると、系の状態が量子化され、カオス的パルス列が、多様な超安定周期パルス系列の共存状態へ変化することを示す。この場合のダイナミクスは、計算機を用いて厳密に解析でき、これは、次世代の連続時間系の数値解析法に重要な示唆を与えると思われる。
最大直方体探索アルゴリズムによるモンテカルロ計算の高速化
菅沼龍一、尾川浩一
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モンテカルロ法を用いた光子輸送シミュレーションはSPECrやP町における散乱線除去や吸収補正の方法を検討する上で欠かせない技術である。われわれはvoxe-based(VB)法による光子輸送シミュレーションの高速化を目的として最大直方体(maxi mum rectangular regions:MRRs)で物体を記述する方法を開発し、計算時間を従来の物体記述法に比べて大幅に短縮することができた。本論文ではMRRの3次元への拡張について詳細を述べ、3種類のファントムに対する光子輸送シミュレーションを行ない、octreeを用いた高速化法と比較してMRRの有効性を検討する。
少数投影からの3次元画像再構成
菅沼龍一、尾川浩一
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脳動静脈奇形に対し放射線治療を行う際、病巣部に正確な照射を行うため血管の3次元的な位置や形状を知る必要がある。脳血管の3次元映像化は臨床における重要性からさまざまな方法が提案されているが、複雑な血管の3次元形状を2次元の血管造影画像から正確に再構成することは非常に困難とされている。そこで我々はCTの逐次近似アルゴリズムであるMAP-EMを用い少数方向から得た血管造影画像をもとに3次元脳血管再構成を試みた。さらにMAP-EMは計算に時間がかかり実際に臨床で使用する場合の障害となるため、計算時間を短縮する新たな方法を提案した。この結果、従来の方法に比べ早期の段階で良質な画像を得ることができた。
ニューラルネットを用いた2核種同時データ収集型SPECTにおける散乱補正
松永亜貴夫、尾川浩一
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エミッションCTの2核種同時データ収集において困難となっている散乱線推定を3階層型ニューラルネットを用いる事によって実現した.教師データをそれぞれの核種のプライマリ光子数と設定ウィンドウ内の全光子数の比率として学習させ,ニューラルネットの重みや閾値を決定した.このニューラルネットによって得られた出力にそれぞれの核種の全光子数を乗じてプライマリ光子数を求めた.シミュレーションと実験の結果より2核種同時データ収集におけるニューラルネットワークを用いたプライマリ光子の抽出が可能であることが明らかになった.
モバイルエージェントの正当性確認方式に関する一検討
神田聡、吉田裕
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モバイルエージェントを実現するにあたって、モバイルエージェントはエージェントシステム中のホストに到着する毎に自身の正当性を明らかにできることが望ましい。本稿では通信チャネルを監視する攻撃者からシステムを予防するために、ユーザの一定の手続きに基づくシステム利用期間を限定することと定期的にシステムキーを更新することとによりモバイルエージェントの正当性を証明する「IASA」を提案し、実装を試みたので報告する。
ネットワークトラヒックの統計的性質と確率モデル
篠秀明、植田武、八名和夫
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情報ネットワークの性能向土を目指すためにはネットワークトラヒックの統計的性質を明らかにすることが設計上重要である。また。その統計的性質を知ためにネットワークトラヒックをモデル化しそのパラメタを指定することが有用である。本稿では2状態マルコフ過程が多数重畳している重畳マルコフ過程を用いたモデル化をfjない。情報ネットワークトラヒックのパラメタを推定する方法でトラヒックの性質を明らかにする。ここではSNMP(Simple Network Management Protocol)により得られる情報ネットワークトラヒックに対し、計算機シミュレーションによってモデルの妥当性を検討した上で実データの解析を行った。
ネットワークトラヒックの予測とその応用
篠秀明、阿波賢二、大久保智史、八名和夫
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通信ネットワークへの負荷が増大する現在、トラヒックを分散制御しネットワークを効率的に利用することは非常に有用であり、最適な分散制御を行なうためには未来のトラヒックを予測することが要求される。SNMP(Simple Network Management Protocol)により容易に観測されるネットワークトラヒックは短時間的に無相関に近い性質を有するためそのままでは予測にむかない。そこで本稿ではトラヒックの差分系列が短時間的に負の相関を有することに注目し、差分系列を予測することでネットワークトラヒックを予測した。その結果、現時点を次点の予測値とする予測手法より良好な予測結果が得られた。また、トラヒック予測の応用としてネットワークトラヒックの分散制御方法についても述べる。
情報ネットワークにおける通信リクエスト発生の非定常ポアソン性検定
篠秀明、北澤慶一、治部将之、原淳平、八名和夫
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WWW(World Wide Web)の利用を中心としたインターネットユーザが急増する現在において.通信トラヒックの特性を把握し必要なネットワーク資源を推定することはネットワーク構築・運用の立場から重要な課題である.ネットワークトラヒック時系列の統計的なモデル化なされればシステム全休の負荷変動特性等ネットリフーグの振る舞いをありかじめ検討することが可能となり上記課題の解決に有効な泪段を提供することになると思われる。WWWトラヒックモデル化の基本的な要素である通信リクエストの発生時刻列の特徴付けについて.いくつかの報告がある圦過程の非定常性を考慮に入れた詳細な検討はなされていない.本論文ではネットワークにおける通信リクエスト発生の統計的性質について検討し特に非定常過程としての特徴付けの方法とその解析例を.シミュレーションデータ.実データを用いて示した。
三次元固体力学問題への有限体積法の応用
小川智也、武田洋
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有限体積法は(FVM)は非ガラーキン重みを用いた有限要素法(FEM)の特別な場合と考えられている。本論文では、有限体積法による三次元固体力学問題の解析を論じる。有限体積法を定式化するために、補間関数として一次の四面体要素を用いている。また、三次元のデラウニー分割法による自動要素分割システムを提案する。この手法を用いることにより、節点と要素間の要素コネクティビティなしのモデルの解析を行うことが可能である。
非線形問題に対する有限体積法の応用
井上真二郎、武田洋
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近年,構造物の形状の複雑化という背景から計算機を用いた数値解析が注目されている.現在,様々な分野で用いられている手法が有限要素法(FEM)である.そんな中で,線形のみならず非線形問題をも視野に入れた設計の必要性が高まっている.しかしながらFEMには要素境界での連続性が要求されるという制限があり,不連続な現象を扱いづらい.そこで本論文では境界積分型解法であるため不連続な現象の扱いが容易である有限体積法(FVM)に着目し,FEMの考えを踏まえつつFVMにより材料非線形問題に関する解析を行う.
損傷力学に基づく岩盤の異方性構成方程式
浅井宏太、草深守人、竹内則雄
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微視的欠陥あるいは中小規模の不連続面を持つ岩盤の構成関係は,損傷力学の観点から考察することができる.等方損傷材料に対する構成式は熱力学的考察により定式化された.本研究では等方性損傷から異方性損傷への拡張をおこなう.その結果,異方性損傷の概念が連続体力学の枠内で不連続性岩盤の力学的挙動を表すのに有効であることを示した.
飽和帯水層中の環境汚染物質の移流拡散解析
秋元護、草深守人、竹内則雄
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近年、有機塩素系化合物による地下水と土壌汚染が深刻化している。汚染の進行状況を知るためには、現場での実測が望ましいが、現実ではその方法は地域に与える影響が大きく困難である。本研究では現実に近いモデルを設定し、浸透流および移流拡散解析プログラムを用い帯水層の汚染の進行と浄化について数値解析を行った。また本研究での解析手法と解析プログラムの妥当性を確認するため、飽和地盤中における汚染物質の移流拡散現象とその浄化に関する模型実験を実施した。
破壊状態と限界状態を考慮した粘性土の一般化降伏関数
石橋泰、草深守人、竹内則雄
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限界状態論をもとにした降伏関数(法政モデル)は,様々な粘性土において適応できるモデルとして開発された.しかしながら,このモデルは,密な土における降伏から破壊状態に至り,限界状態に達するという挙動を表現することはできない.本研究では,この挙動を表現可能にする為に,法政モデルを拡張(修正法政モデル)した.また,修正法政モデルの実用性を評価・検討するために,室内試験結果と両モデルにおける有限要素解析結果の比較を行った.その結果修正法政モデルは法政モデルと比較して,応力状態を比較的より良く表せることが確認された.しかしながら,実際問題の適用性について,モデルの改良,材料パラメータの評価精度の向上等,今後改善すべき多くの課題が残された.
静水圧依存型異方性降伏関数を用いた岩盤の掘削解析
兼重剛、草深守人、武田洋
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最近の水力発電所の新設工事では,ダムの基礎岩盤となる長大斜面の掘削や地下洞の掘削において,岩盤の強度異方性に配慮した設計・施工対策の検討が重要な課題となりつつある.そこで本研究は,静水圧依存の硬化型異方性降伏関数によって,強度異方性を有する岩盤の掘削に伴う安定性について評価した.この降伏関数内に含まれる材料パラメータは,従来の一軸・三軸圧縮試験結果のみを用いることで,非線系最適化手法により決定できる.また,この手法を用いれば,材料パラメータの評価に際して,純せん断試験のような困難な材料試験を必要としない.
引張破壊現象に対する有限体積法による非線形解析法
竹内則雄、武田洋
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有限体積法を基にして,非構造メッシュを用いた引張破壊解析手法を提案する.有限体積法は,要素境界辺に沿った境界積分を行うため,体積積分に基づく有限要素法より進行型破壊の扱いが簡単である.非線形解析法としては,荷重増分法に基づくrmin法を応用したTension-crack解析法を用いる.また,数値解析では,Voronoi多角形を用いて解析領域を分割する.はじめに,簡単な数値計算例によって,本手法による弾性解が有限要素法による解と同じ精度を有していること示す.続いて,引張破壊における破壊荷重が剛体ばねモデルや有限要素法などの既往の手法と同程度の値になることを示す.
顎関節の接触圧解析システムの開発
竹内則雄
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顎関節の接触圧分布を評価する解析システム提案する.本システムでは,剛体ばねモデルを適用するため,画像入力装置から得られた接触部の位置データを基にして,下顎骨と頭蓋骨を2次元剛体要素に置換する.このとき,接触部においては,法線方向に抵抗する垂直ばねを設け,また,歯牙部においては,法線方向のばね加え,接線方向に抵抗するせん断ばねを設ける.一方,外力は,咀嚼筋の上下運動を仮定して作用させるものとする.解析法として応力遷移法を適用するため,はじめにこれらのばねに抵抗する反力を一旦計算する.このとき,接触部に生じた負の反力や歯牙部のせん断力は,実際には働かないため,これらの力がほぼ0になるまで収束計算を行い,最終的な筋力や接触圧分布を求める.
線形ポテンシャル場を用いた有限体積法による地下水浸透問題の解析法
石垣智明、竹内則雄、草深守人、武田洋
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線形ポテンシャル場を用いた有限体積法による地下水浸透問題の解析法を提案する.有限体積法(FVM)は,非直交格子を用いた有限差分近似として流体力学や移動現象論などの分野において広く用いられている.特に,地盤環境の問題である地下水による汚染拡散のような水以外との連成問題を解く手法として利用されている.これらの方法は,主に,水頭場を一定として取り扱っている.しかし,FVMは非Galarkin重みを有する有限要素法(FEM)の特殊なケースと考えることができるため,水頭場の次数を高めることで,より精度の高い解析が可能となる.本研究では,FEMの四角形要素と同一の水頭場を仮定し,FEMの概念を導入した定式化を試みた.さらに,本手法によって得られる解の特性を検討するため,簡単な数値計算例によりFEM解との比較検討を行った結果を示す.
レーザ流速計による開水路流速分布の3次元測定
井幡英紀、西谷隆亘、牧野立平
PDF   抄録
河川の流れには、底面、側壁、水面の異なる境界に囲まれた流れ場が存在し、固有の流れの構造が形成されている。これらの流れの構造を解明するには、詳細な流速の3次元計測が必要である。本研究では、開水路乱流における流れの構造を把握する目的で、3次元レーザ流速計を用いて水路横断面内の詳細な流速分布の測定を行った。3次元計測により、主流速の最大値が水面より下方に現れる現象や、2次流が主流速の約2%前後であることが確認された。これは、規則的な流れの構造が存在していることを予想させる。
The Web上の情報システム(局所情報の大局的統合)
國井利泰、國井秀子
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The Web上で、一日に一国の国内総生産(GDP)に匹敵する金融取引が行われるe-businessが盛んになるに至り、The Web上の情報システムについての研究が重要性を増してきている。本報告では、The Web上のsitesの局所情報をネットワークグローバルに活用する「The Web上の情報システム」の特徴を、セル空間理論により端的にモデル化できる事を示す。
3次元ウェーブレット変換・逆変換の計算式と計算例
小口雄康
PDF   抄録
信号処理においてウェーブレット変換逆変換は有力な手法である.1・2次元データに関しては比較的簡単に計算できるし,市販のソフトウェアーも手軽に利用できる.しかし,3次元となると事情が異なる.いくつかの教科書や報告に解説が見られるが簡単に理解できるようには説明されていない.この点を考慮して3次元ウェーブレット変換逆変換の計算式を2次元からの直接の発展として整理して示した。特に、行列演算の解釈に重点をおいて計算手続きを説明してある。最後に、計算例を示し、計算の正しいことを確かめてある.
ウェーブレット変換によるカラー画像の操作について
石田則道、國井利泰、斎藤兆古
PDF   抄録
近年、コンピュータが手軽に使える環境になり、その結果、映像情報であるコンピュータグラフィックスが情報伝達の道具として極めて大きな社会的な意味を持ち、その広範な普及が今後期待されている。本論文ではこのような現状を踏まえ、コンピュータグラフィックスの持つ本質的な情報を抽出する手段として離散値系ウエーブレット変換を用いて映像情報を処理する技術の一方法を提案する。ウエーブレット変換を用いて、映像情報をハードウェアに対して負担が少なく、しかも、人間の視覚情報として説得性の高い情報へどのように展開するかを検討する。
ウェーブレット変換によるダイナミック画像のハンドリング
松山佐和、小口雄康、斎藤兆古、國井利泰
PDF   抄録
カラー画像データを、R,G,B画素データを3成分とする3次元ベクトルデータとみなし、ベクトルウェーブレッド変換を適用する。離散値系ウェーブレッド変換の特徴はウェーブレッド変換スペクトラムのマザーウェーブレッド近傍要素にデータの平均的特性を抽出することにある。この特徴がベクトルデータの圧縮およびノイズ低減に応用されている。ここでは、ウェーブレッド変換によるカラー画像データの情報量の縮小と人間の視覚能力に応じた再現方法を提案する。
ウェーブレット変換による三次元磁界ベクトルデータ処理
松山佐和、小口雄康、遠藤久、関島大志郎、斎藤兆古
PDF   抄録
離散値系ウェーブレット変換によるデータ解析法としては、データの特性が集約されるウェーブレットスペクトラムのマザーウェーブレット近傍要素のみを取り出すデータ圧縮、および、多重解像度解析による時間・周波数領域にまたがる解析があげられる。これを利用し、さまざまな測定データの圧縮とノイズ低減法を提案してきた。本稿では、これらの知見を応用し、スイッチング・レギュレータ上に生じる磁界の測定データの解析法としてウェーブレット変換をとりあげ、空間・時間の両領域にまたがる大容量3次元磁界ベクトルデータの解析を試みた。ここに離散値系ウェーブレット変換による大容量データ処理の1方法を示す。
顔の表情抽出
岩崎晴美、斎藤兆古、加藤千恵子、繁多進、堀井清之
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顔の表情分析する方法として利用されているのはEkmanとFriesenが確立したFACSやEMFACSである。この手法を使用するには分析者の熟達した経験と豊富な知識が必要である。本論文では計算機による全自動表情抽出の一方法を提案する。顔の表情変化は、顔全体に現れるグローバルなもの、そして、局所的なものに大別される。グローバルな変化分抽出にフーリエ変換、そしてフーリエ変換で得られたグローバルな変化から局所的な変化をウェーブレット変換で抽出する方法である。写真画像とスケッチ画風画像について解析を行った。